2007年10月21日 00:00 〜 00:00
中村哲・ペシャワール会現地代表


会見リポート

小田原評定より用水路

山内 聡彦 (NHK解説主幹)

「日本が戦争プロセスに一切関与しないと表明するだけでかなりのインパクトがある」

インド洋での給油活動をめぐる与野党の攻防が白熱化する中、中村さんはそうした国会論戦を「小田原評定だ」とばっさり切り捨て、日本はアフガニスタンの復興のみに参加すべきだと訴えた。以前米軍ヘリから機銃掃射を受けた。その燃料がインド洋から来ているとすれば愉快な話ではないと怒る。

20年以上にわたりアフガニスタンを中心に医療支援や井戸作りを進め、03年にアジアのノーベル賞とされるマグサイサイ賞を受賞した。

中村さんが強調したのはアフガニスタンが今未曾有の危機に直面していることだ。それはタリバンの復活ではなく、2000年以来大規模な干ばつに見舞われていることだ。地球温暖化の影響でヒンズークシ山脈の雪がとけ、農村の砂漠化が急速に進んでいる。アフガニスタンは人口の8割が農民の農業国家。あと10年ほどで生きていく空間の半分が消滅する。ユーラシアで最も大きな被害を受けているのがアフガニスタンで、500万人が飢餓線上にあるという。

緊急で可能な対策として訴えたのが農村の復興と食糧自給率の向上だ。中村さんが実践しているのは農業用水路の整備や清潔な飲料水の確保だ。水さえあれば農民は村に戻り、砂漠に緑がよみがえる。復興支援も「貧しい人々にお金が落ちる制度、地元の人が維持補修できる事業を実施すべきだ」と主張する。

今現地で何が起きているのか、それを知らずに議論はなりたたない。必要なのは被害者の農民の視点に立った支援だと中村さんは指摘する。

「小田原評定をするより、早く帰って、用水路を1キロでも延ばした方が有益だ」

ゲスト / Guest

  • 中村哲 / Tetu Nakamura

    日本 / Japan

    ペシャワール会現地代表 / Representative of Peshawar

研究テーマ:アフガニスタン農村の現状

前へ 2020年01月 次へ
29
30
31
1
2
3
4
5
6
7
10
11
12
13
14
18
19
23
25
26
28
1
ページのTOPへ