2005年11月02日 00:00 〜 00:00
ニカノル・ドゥアルテ・フルートス・パラグアイ大統領

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会見リポート

メルコスル4カ国の結束

庭田 学 (毎日新聞外信部)

「南米大陸の真ん中に位置し、人口600万人の農業輸出国……」。大統領がまず国の概要を説明したパラグアイは、日本ではあまりなじみのない国だが、約150年前、ラテンアメリカの先進国だった。欧州の技術を積極導入し、ラテンアメリカ初の義務教育制度も確立した。

ところが1864~70年、アルゼンチン、ブラジル、ウルグアイの3国相手の不運な戦争で国土は荒廃、人口も半減し、風向きは変わってしまった。そして今、パラグアイはこの3国と南米南部共同市場(メルコスル)を組織し、経済発展を目指している。

「政治も経済も安定している。低い税率と安い労働力もある」とPRしたように、来日の最大の目的は投資の呼びかけだった。大統領の肝いりで昨年着任した田岡功駐日大使は徳島出身の日系1世。もちろん対日経済関係強化を図る人事だ。今回の来日でイグアス水力発電所建設に214億円の円借款を実現。「パラグアイへの投資について日本の経済界と会合を持ち、大きな関心を持ってもらった」と成果を評価した。

パラグアイは南米で唯一、台湾と外交関係を維持する国だ。中国との関係をどうするのか。それを問われた大統領は「非常に興味深い状況だ。台湾と外交関係があるが、中国との国際収支は台湾を上回っている」とだけ述べた。来日直後、アルゼンチンであった米州首脳会議では、パラグアイはメルコスルの一員として、米主導の米州自由貿易地域(FTAA)に対する慎重姿勢を貫いた。メルコスル4カ国の結束を示す現実に即した対応だ。対中関係においても、興味深い状態から現実に即した状態に切り替える日は近いだろう。

ゲスト / Guest

  • ニカノル・ドゥアルテ・フルートス / Óscar Nicanor Duarte Frutos

    パラグアイ / Republic of Paraguay

    パラグアイ大統領 / President

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