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2004年5月11日 : 研究会「司法制度改革」
佐藤 幸治 近畿大学法科大学院長

法の支配の血肉化
研究会「司法制度改革」の一回目は、憲法学者の佐藤幸治氏である。佐藤氏は司法制度改革審議会会長として、改革の青写真をまとめ上げた。いまは政府の顧問会議座長の立場にあり、改革が忠実に実行に移されているかどうか目を光らせている。

司法制度改革は、最後を締めくくる裁判員法案などが国会審議の大詰めを迎え、総仕上げの段階にある。しかし研究会で佐藤氏がとくに強調したのは将来への展望ではなく、改革の原点、改革に課せられた根本課題を見つめなおすことの重要さであった。

佐藤氏が熱っぽく語る改革の原点とは、法の支配が血肉と化し「この国のかたち」となること。国民一人ひとりが統治客体意識から脱却し、自律的で社会的責任を負った統治主体となることである。憲法は個人の尊重、政治の復権、法の支配を基本原理として掲げた。

しかし現実の日本社会は崇高な憲法理念とはほど遠い実態にあり、いまをおいて改革のチャンスはない。そうした切羽詰った思いが、老練の憲法学者に、改革への熱い思いを語らせたのだと思う。

そうしたねらいを込めた改革にあって、佐藤氏が特に重視するのは法科大学院で質の高い法曹(法律専門家)を大量に養成し司法基盤を整備することと、国民参加の裁判員制度の実現である。折から会員の質問は裁判員制度に集まり、国民の能力への素朴な疑問も出された。

「自分自身を信じようよ」

これが佐藤氏の締めくくりのメッセージであった。
NHK解説委員室副委員長 若林 誠一
 
 
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