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2009年2月19日 : 記者会見
黒田 東彦 アジア開発銀行総裁


黒田氏がアジア開発銀行(ADB)総裁に就任した05年2月頃は世界経済が絶好調で、ADBも中長期の案件にじっくり取り組めばよかった。それから、たった4年で事態は急変した。米国発の金融・経済危機は東アジアにも及んでいる。

ただ、黒田総裁はアジアでは最悪の事態は回避されているという。サブプライム関連金融商品の保有高が限定的であり、銀行も健全さを維持している。為替レートも比較的落ち着いており、外貨準備の急激な流出や枯渇の懸念は薄らいでいる。90年代末のアジア危機が教訓となっている。そうはいっても、景気対策や金融安定策は必要である。この点で、黒田氏は楽観的なようにみえる。というより、各国の政策当局者を信頼していると言った方がいいだろう。

同時に、持続的発展を通じた貧困削減との闘いで、ADBの役割が一段と重要になっていることも強調する。このところ、開発途上加盟国からの資金ニーズが増大しており、このままでは、それに十分応えることができないという。当面の課題が大規模な増資というのは、そのためである。そこからは、アジア地域がバランスの取れた発展をしていくことが、世界経済にも寄与するという強い信念をうかがうことができる。

黒田総裁は金融・通貨協力推進論者である。この地域の経済発展や経済の安定に資するからである。ただ、それは段階を踏んでしかできない。国際局長、財務官として手掛けてきたASEAN+3(日中韓)のスワップ協定(チェンマイ・イニシアチブ)の強化に期待を寄せる。

この数年、国際経済・金融の世界で日本の存在感は薄くなってきた。今回の経済危機への取り組みでも同様だ。そうした中で、黒田総裁の活躍は目覚ましい。ADBの開発金融の世界における評価は確実に高まっている。この際、黒田総裁に日本政府を刺激する役割も期待したい。
毎日新聞論説委員  今松 英悦
 
 
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