2016年11月16日 15:30 〜 16:30 10階ホール
川鍋一朗 日本交通会長 「チェンジ・メーカーズに聞く」⑫

会見メモ

タクシー業界最大手の若きトップ。スマホで車を呼べるアプリ、陣痛タクシーなど新事業を展開。来年は初乗りを420円に値下げ、IT満載の「世界最高タクシー専用車」を走らせる。東京五輪ではトヨタと組み自動運転に挑戦。「タクシーは拾うから選ぶ時代です」
日本交通
司会 水野裕司 日本記者クラブ企画委員(日本経済新聞)


会見リポート

タクシーは「斜陽」ではなく「有望産業」

浜中 淳 (北海道新聞社論説委員)

タクシー業界の名門、日本交通の創業家3代目、川鍋一朗会長は46歳。同社のみならず、国内の業界全体をけん引する若きリーダーだ。

 

10年間で輸送人員が2割も落ち込んだタクシーは「斜陽産業」のイメージがつきまとう。米ウーバー・テクノロジーズという新たなライバルも出てきた。

 

「古くて先がないと見られていることが『おいしい』」。川鍋氏はむしろ改革の好機だと強調する。

 

国内で配車サービスを展開するウーバーに対抗し、スマートフォンアプリ「全国タクシー」の開発を主導した。大阪の個人タクシーも巻き込み、国内のタクシーの2割をこれで呼べるという。

 

ウーバーの本丸事業であるライドシェア(相乗り)の本格展開はこれからだが、「東京五輪で海外から来る『ウーバーが必要』という人たちに、日本のタクシーは便利だと分かってもらえる仕組みを築く」と意気込む。

 

東京を走る4万台のタクシーのうち、3万台にタブレット型のデジタルサイネージを搭載し「広告収入を得ながら、外国語で行き先を指示し、電子マネーなどで決済できるようにする」。

 

トヨタ自動車という心強い援軍も得た。「豊田章男社長から『トヨタはタクシー業界に育ててもらった』と言っていただき感激した」。同社がその恩返しに開発した専用車両「ジャパンタクシー」を来秋導入、東京五輪までに1万台に増やす。

 

先に見据えるのが自動運転時代である。異業種に先を越されないよう、トヨタと組んで自動運転タクシーの事業化を目指す。「日本交通が持つ都内の渋滞情報の量は、トヨタでも及ばない。これを生かしたい」

 

1時間の会見で「斜陽」から「有望産業」へとイメージを一変させたのはさすがだった。


ゲスト / Guest

  • 川鍋一朗 / Ichiro Kawanabe

    日本 / Japan

    日本交通会長 / Chairman, Nihon Kotsu Co.,Ltd

研究テーマ:チェンジ・メーカーズに聞く

研究会回数:12

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