2016年11月30日 00:00 〜 00:00
沖縄与那国・石垣取材団(11/30~12/1)

会見メモ

●日程(3泊4日)
▼2016年11月30日(水)▽羽田発、石垣島へ▽具志堅用治・八重山漁協鮪船主会会長▽柳澤協二氏講演参加(主催:石垣島に軍事基地をつくらせない市民連絡会)
▼12月1日(木)▽上原秀政・石垣島への自衛隊配備を止める住民の会共同代表▽伊良部幸吉・八重山漁協代表理事専務▽石垣海上保安部視察、宮崎一巳・保安部長▽中山義隆・石垣市長▽慶田城用武・尖閣列島戦時遭難者遺族会会長▽砥板芳行・石垣市議▽懇談会:新垣玲央・沖縄タイムス、謝花史哲・琉球新報両八重山支局長
▼2日(金) ▽与那国島へ移動▽塩満大吾・陸自与那国駐屯地司令、施設見学▽外間守吉・与那国町長▽田里千代基・与那国町議▽石垣島へ戻る
▼3日(土)▽バンナ岳展望台▽陸自配備予定地の平得大俣地区付近の嵩田、開南、於茂登、川原の4公民館館長と懇談▽石垣島発、羽田着、解散
【参加:8社15人】


会見リポート

自衛隊配備で揺れる島 「民意」はどこに

坂本 英二 (日本経済新聞社編集委員兼論説委員)

日本記者クラブの沖縄与那国・石垣取材団は2016年11月末から12月初旬、中国の海洋進出と自衛隊の配備問題で揺れる両島を訪れた。

 

石垣市は基地受け入れの賛成派と反対派の対立が続き、国の安全保障上の必要性と地元の理解をどう両立させるかが難しい政治課題となっていた。

 

羽田空港から石垣空港まで直通便で約3時間半。鹿児島県の上空がほぼ中間点にあたり、日本列島の長さを改めて実感する。

 

政府は尖閣諸島(沖縄県石垣市)の近海に中国船が頻繁に現れるなど東シナ海の緊張を受けて、南西諸島の防衛に力を入れている。石垣島には陸上自衛隊のミサイル部隊を新たに配備したい考えだ。

 

尖閣警備では16年春に海上保安庁が「尖閣専従班」を発足させ、1500トン級巡視船10隻を新たに加えて合計12隻の体制になった。石垣海上保安部の宮崎一巳部長に説明を受け、石垣港にずらりと並ぶ最新鋭の巡視船を見学した。

 

石垣市の中山義隆市長は海保の体制強化を評価し、取材団に「南西諸島への自衛隊配備は国が専権事項として判断すべきだ。いま南沙諸島で起きているようなことが尖閣でも起きる可能性がある」と語った。陸自の受け入れ賛成派は「中国への抑止力になり大規模災害時も自衛隊がいれば安心だ」と主張している。

 

取材団は自衛隊配備に反対する市民団体や基地予定地の近隣住民からも話を聞いた。「中国との緊張をむしろ高める」「基地があると標的にされる」「観光の島に自衛隊はいてほしくない」。このままでは基地の島になるという訴えは切実で、住民投票の実施を求める声もあった。

 

日本最西端の与那国島では16年春にできた陸自の沿岸監視隊の駐屯地を取材し、塩満大吾司令(沿岸監視隊長)から施設や隊員の生活について聞いた。誘致運動をした与那国町の外間守吉町長は記者団に「人口1500人の町に隊員160人と家族100人が加わって、経済が活性化した」と成果を強調した。

 

一方で反対運動を続けた田里千代基町議は「中国を敵だと思っていない。やってはいけない自衛隊誘致に手をつけて島を分断し、将来が見えなくなった」と嘆いた。

 

東シナ海での緊張にいかに備えつつ、島の将来をどう描くか。防衛力の強化は地域の安定に本当にプラスなのか。重い問いかけは日本全体で答えを出すべき課題でもある。


ゲスト / Guest

  • 沖縄与那国・石垣取材団

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