2016年10月12日 14:00 〜 15:00 10階ホール
森信親 金融庁長官

会見メモ

2015年7月就任以来、地域金融改革を進めている。「手数料稼ぎを目的とした顧客不在の姿勢ではダメ」「地銀は地域企業の事業を適切評価できる力を」「改革が元に戻らないよう有識者会議で文書化している」「金融庁は怖がられているが、批判、意見は大歓迎」
金融庁HP 
司会 軽部謙介 日本記者クラブ企画委員(時事通信)


会見リポート

地域からの生産性「変革」を胸に

瀬能 繁 (日本経済新聞社編集委員兼論説委員)

金融庁はかつて銀行に不良債権処理を厳しく迫り「金融処分庁」と揶揄されていた。今や取引先企業を成長させるよう銀行を後押しする「金融育成庁」に生まれ変わりつつある。そんな金融行政の転換を主導する金融庁長官の発言に注目が集まった。

 

一番力を入れていたのは、地域金融機関の経営だ。「銀行と企業の考えにはギャップがある」。「金融機関は相変わらず担保と保証」に頼っているとして、事業の中身や成長性をみようとしていないとの不満が企業から寄せられているという。

 

「地元に密着して顧客をよく理解し、関係を築いている銀行は安定した経営を実現している」。そんな形で成功しつつある銀行に触れ「初めて企業のおやじから『おまえいいことやったな』と褒められ、銀行員が喜ぶのがうれしい」と語ると笑みがもれた。

 

銀行改革の先には米国の約半分とされる日本のサービス産業の生産性を底上げし、日本経済を活性化しようという大きな目標を見据える。生産性が上がれば、企業の従業員の賃金が上がり、取引先の成長と銀行の収益安定につながる――。そんな好循環の道筋が念頭にある。

 

金融庁自らの組織改革は、森長官ならではのこだわりゆえだ。企業や家計など金融機関以外の当事者とも対話を重ね、外部識者からも率直に批判を受ける「金融行政モニター」を設置した。

 

いわく「地銀の頭取が『ミドル・リスクをとれ』といっても審査でダメになってしまう。トップが言うだけではうまくいかない」と実感しているという。キーワードとしてやはり「変革」の2文字で締めくくった。


ゲスト / Guest

  • 森信親 / Nobuchika Mori

    日本 / Japan

    金融庁長官 / Commissioner, Financial Services Agency

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