2016年06月27日 13:00 〜 14:15 10階ホール
「18歳選挙権」原田謙介 YouthCreate(ユースクリエイト)代表

会見メモ

若者の政治参加のための活動を続けるNPO法人YouthCreateの原田謙介代表が「18歳選挙権時代の作り方」というテーマで話し、記者の質問に答えた。
司会 川上高志 日本記者クラブ企画委員(共同通信)


会見リポート

18歳、政治参画の時代になるか

川上 高志 (共同通信社論説副委員長)

選挙権年齢の「18歳以上」への引き下げに注目が集まる参院選。高校の教育現場では「どう政治教育を行うか」「教員の政治的中立性とは」などと、戸惑いの中での試みが続いてきた。

 

その現場に関わってきた原田氏は、10年後に2016年夏の参院選を振り返った時、「選挙権年齢が下がった年」ではなく「若者の政治参画が始まった年」にしたいと語った。18、19歳の新しい有権者が誕生したことに主要な意義があるわけではない。彼らが政治を考え、発信し、政治の議論の場に若者の声が届く。そういう政治構造の変革の機会にしたいという指摘だ。

 

学生時代から若者と政治の「接点」を作り出す活動を始め、約10年を経た今もNPO法人で政治参画を働き掛け続けている。地に足がついた活動から「自分の身近な街のこと、地域の課題を考えることが『政治』につながる」と説明した。

 

「主権者教育」という言葉はこの1年で広まったが、高校生に政治の仕組みを教えたり、模擬投票を経験させたりするだけの取り組みに今のところとどまっているように思う。原田氏は「義務教育の小中学校からの取り組み」の必要性を指摘。学校と家庭、地域で政治に接する環境づくりの大切さを強調した。

 

今回の参院選後、メディアは新たな有権者の投票率の高低だけを報じるのではないか。「同じ18、19歳でもさまざまな立場の人がいることをきちんと分析してほしい」と語る。

 

そして政治を「選挙」という側面からのみ見るのではなく、日常の生活の中で課題解決や合意形成を経験し、地域の政治や議会との関わりなどによって本当の主権者として育つのだと指摘した。

 

「18歳選挙権」は18歳だけの課題でも、今回の参院選で終わるテーマでもない。大人も含め、「主権者になる」とはどういうことなのかを考えさせる会見だった。


ゲスト / Guest

  • 原田謙介 / Kensuke Harada

    日本 / Japan

    NPO法人YouthCreate(ユースクリエイト)代表 / Representative of Youth Create (NPO)

研究テーマ:18歳選挙権

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