2016年06月16日 16:00 〜 17:00 9階会見場
ヘレン・クラーク 国連開発計画(UNDP)総裁

会見メモ

次期国連事務総長選に出馬を表明しているヘレン・クラーク 国連開発計画(UNDP)総裁が会見し、記者の質問に答えた。
司会 宮田一雄 日本記者クラブ企画委員(産経新聞)


会見リポート

国連事務総長選に剛速球

宮田 一雄 (企画委員 産経新聞特別記者)

米国の大統領選ほど派手ではないが、国連でも今年、長丁場の事務総長選任プロセスが展開されている。現職の潘基文事務総長の任期が年末で終わるため、後任選びに新方式を採用し、候補者の公募と公聴会開催を導入したからだ。

 

その11人の候補者の1人。1999年から2008年まで、ニュージーランド首相を務め、09年4月に女性として初のUNDP総裁に就任した。経歴も実績も申し分ない。

 

世界はいま多数の課題に直面している。9億人が貧困と格差に苦しみ、環境問題も深刻、悲惨な紛争が続き、多数の人が開発の権利を奪われ・・・わわ、速射砲のように繰り出される言葉にメモが追いつかない。意欲は経歴以上に申し分なさそうだ。

 

今回の来日の目的は日本の支持を求めることだ。立候補には母国政府の全面的支持を受けており、記者会見に同行したのもニュージーランドの外交官だった。

 

貧困と開発、地球温暖化対策、平和と安全保障、すぐには解決できない課題ばかりだが、国連は積極的に取り組むチャンピオンでなければならないと力説し、そのためには「人間の安全保障に立った長期的な視点がなければならない」という。「人間の安全保障」は日本外交が最も力を入れてきた分野でもある。

 

候補者は1人2時間ずつの公聴会で質問を受け、その答え方も事務総長としての資質を見る有力な判断材料になる。クラークさんの場合、4月14日に満員の会場で109の質問に答えたという。

 

7月からは安保理で非公開の協議に入り、秋には候補者を1人に絞って総会に提案する。少し知ったかぶりの質問を投げてみた。次期事務総長には女性を待望する声が強いが、一方で地域的に次は東欧の番という意見もある。この点はどう考えるか。

 

「立候補はそもそも全加盟国に対し呼びかけたものです。いま世界がどんな問題に直面し、その問題に対応できるかどうか。それが唯一の基準です。他の基準で選んでいたのでは、国連はいま、この世界に対応できません」

 

剛速球が返ってきた。


ゲスト / Guest

  • ヘレン・クラーク / Helen Elizabeth Clark

    国連開発計画 / United Nations Development Programme (UNDP)

    総裁 / Administrator

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