2016年06月10日 15:00 〜 16:15 10階ホール
「変わるアメリカ 変わらないアメリカ 米大統領選」⑧横江公美 元米ヘリテージ財団上級研究員

会見メモ

『崩壊するアメリカ~トランプ大統領で世界は発狂する!?』の著者、横江さんがトランプ現象と大統領選について話し、記者の質問に答えた。
司会 川村晃司 日本記者クラブ企画委員(テレビ朝日)


会見リポート

パンドラの箱を開いたアメリカ

佐々木 恵美 (日本テレビ報道局国際部)

波乱のアメリカ大統領選予備選挙。民主党のクリントン氏がついに候補者指名を確実にし、二大政党の候補者が出そろって間もなく行われた会見で、元米ヘリテージ財団上級研究員の横江公美氏は「アメリカは本音を言う、パンドラの箱を開けた。今後も、“トランプイズム”は残っていく」と語り、出席者の視線を引き付けた。

 

“トランプイズム”のひとつが、国土安全保障である。先月、現職の大統領として初めて、オバマ氏が被爆地・広島を訪問したが、横江氏は「訪問はアメリカにとっての区切り。今後国土安全保障に向かうサイン」との分析を披露した。「以前は『世界の警察』と言われたアメリカも、いまや国土を狙われる時代になり、安全保障に力を入れざるを得ない。強い発言でアメリカ第一主義を主張するトランプ氏の発言は、アメリカ人の本音を代弁している」と指摘した。そして、「日本はアメリカの変化が見えていない。変化に準備をしていかなくてはいけない」と警鐘を鳴らした。

 

横江氏の会見で興味を持ったのが「ミレニアル世代」である。1980~90年代生まれの、生まれた時からパソコンに囲まれている“デジタルネイティブ”で、今後の社会の在り方を変容させる世代として注目されている。その象徴が歌手のレディー・ガガ、リアーナといった著名人。

 

「彼女らは自らNPOをつくり、世界を変えようとしている。ミレニアル世代は、社会貢献に対する意識が強く、軍事力ではなく人に寄り添うことで世界を変える考えを持つ。そして、多様性を重んじSNSを使いこなす。この世代がアメリカの各界の中枢に入ることで、世代論から見てもアメリカは変化する」と説明し、今後のアメリカ政治に変化を与える潜在的な影響力を指摘した。

 

アメリカで進む、見える変化と見えない変化。言うまでもなくアメリカは安全保障・経済などあらゆる面で日本のパートーナーであり、これからの将来においても重要な存在である。大統領選挙の候補者から浮かび上がる、あらゆる“変化”に注目して取材を進めることが重要であるとあらためて考えさせられた会見であった。


ゲスト / Guest

  • 横江公美 / Kumi Yokoe

    日本 / Japan

    元米ヘリテージ財団上級研究員

研究テーマ:変わるアメリカ 変わらないアメリカ 米大統領選

研究会回数:8

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