2016年04月11日 17:30 〜 18:20 9階会見場
スレーワーゲン 駐日ベルギー大使

会見メモ

ベルギーのスレーワーゲン大使が会見し、記者の質問に答えた。
司会 石川洋 日本記者クラブ企画担当部長
通訳 池田薫(サイマル・インターナショナル)


会見リポート

ライフスタイルは変えない

小熊 宏尚 (共同通信社外信部次長)

日本・ベルギー国交樹立150周年を記念し、今年初めから予定されていた「ベルギーの夕べ」の一環としての記者会見が、ベルギー史上最悪のテロ攻撃の余韻が生々しい中での開催となってしまった。

 

2国間関係の強化などを訴えるはずの場だったが、会見時間の多くは当然、テロ問題に割かれた。その際、大使が強調したのは、ベルギーは今後、セキュリティを高めてはいくが「われわれはライフスタイルは変えない」という点だった。

 

ラテンとゲルマンが接する西欧の中心で、それぞれの言語文化を背負う人々がほぼ半々の人口比で暮らすベルギー。歴史的に衝突を繰り返してきたこの二つの勢力が、どうやって共存してきたのか。大使は「一番簡単なのは、相手との間に壁を作ること。しかし、われわれはそうせず、互いに譲歩することから始めた」「民主的に話し合い、妥協してきた」と説明する。ブリュッセルに本部機能を置く欧州連合(EU)の在り方とも重なる、こうした多文化共存主義こそがベルギーの精神であり、ライフスタイルなのだという。

 

テロ事件の背景の一つに、昨年来、欧州を揺るがしている移民・難民問題がある。最近の報道ではこうした人々のネガティブな面が強調されがちだ。大使は「ベルギー国内でも、移民のプラス面とマイナス面についての議論がある」と指摘しつつ、最近までFIFAランキングで世界1位、会見時も2位を維持していたベルギーのサッカー・ナショナルチームは移民系が何人も活躍していると紹介。サッカーに限らず、移民たちが現代欧州の経済や社会に重要な役割を果たしてきたとの考えを示した。

 

会見の後はビールの試飲会、そして日本でも近く公開の新作映画「神様メール」の試写会。小さな国の豊かな文化をあらためて認識した、盛りだくさんな夜だった。


ゲスト / Guest

  • ギュンテル・スレーワーゲン / Gunther Sleeuwagen

    ベルギー / Belgium

    駐日大使 / Ambassador to Japan

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