会見リポート
2016年03月18日
15:00 〜 16:30
10階ホール
「変わるアメリカ・変わらないアメリカ 米大統領選」③上英明氏 ヒスパニックと政治
会見メモ
米キューバ関係やヒスパニック移民に詳しい若手研究者、上(かみ)英明さん=神奈川大外国語学部助教(4月着任予定)がフロリダ州予備選結果の分析や大統領選の展望を話し、記者の質問に答えた。
司会 中井良則 日本記者クラブ専務理事
会見リポート
モデルチェンジにあえぐ共和党―ネイティビズムとヒスパニックの狭間で
笹子 美奈子 (読売新聞社国際部記者)
混迷する米大統領選の指名候補争いについて、共和党のヒスパニック戦略の観点から解説した。
2012年大統領選での大敗を機に、ヒスパニック票取り込みのため、本格的に戦略を練り始めた共和党指導部が注目したのがマルコ・ルビオ氏だった。ルビオ氏の戦術は、①エスニシティを消滅させる(スペイン語を人前で話さず、白人に違いを意識させないようにする)②マイノリティであることをアピールする(米国がいかにすばらしい国であるか、両親の身の上話を巧みに使って白人の多数派に売り込む)手法だった。
だが、ルビオ氏は過激な発言を繰り返すドナルド・トランプ氏の人気に押され、敗退を余儀なくされた。経験不足、候補者多数による混戦に加え、「ルビオの語る理想が聴衆に前向きにとらえられない、それだけ米国が自信を失っている表れ」であり、自信の喪失がネイティビズムを呼び、トランプ現象もネイティビズムが背景にあるという。
ルビオ氏の敗北は共和党のモデルチェンジの失敗の表れでもある。共和党は今後、ヒスパニックへの有効なアプローチを確立することができるのか。上氏はむしろ「移民問題は短期的には集票効果があるが、将来必ず禍根を残すことになり、共和党にとって自殺行為」と指摘し、ネイティビズムによって米国が二分され、民主主義崩壊の危機に瀕することに警鐘を鳴らした。
ゲスト / Guest
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上英明 / Hideaki Kami
日本 / Japan
神奈川大学助教(4月着任予定)
研究テーマ:変わるアメリカ・変わらないアメリカ 米大統領選
研究会回数:3