2016年02月17日 13:00 〜 14:00 10階ホール
シャーマン 前米国務次官(政務担当) 会見

会見メモ

最終合意したイラン核協議の米代表などを務めたシャーマン前米国務次官が会見し、記者の質問に答えた。
司会 杉田弘毅 日本記者クラブ企画委員(共同通信)
通訳 池田薫(サイマル・インターナショナル)


会見リポート

米日韓中4カ国で北朝鮮への圧力継続を

会川 晴之 (毎日新聞社編集委員)

シャーマン前米国務次官の会見は、前半のスピーチ部分がTPPなど経済分野を含めた包括的な日米論が中心だったのに対し、後半の質疑応答部分では、北朝鮮、イランの核問題など安全保障問題に終始した。前後半の話題がはっきりと分かれたことで、現在の米政権の考え方を多角的に知る絶好の機会となった。

 

会場の関心が安全保障問題に集中したのは、シャーマン氏がかつてオルブライト米国務長官とともに訪朝した経験があるほか、困難を極めたイランとの核協議を担当し、他の主要国とも協調しながらまとめあげた実績があるためだ。年明け早々から北朝鮮が核やミサイル実験に踏み切る中、米国と北朝鮮との直接協議が実現する可能性があるのか。イランとの核協議を成功に導いた手法を北朝鮮問題にも援用することはできないか。北朝鮮問題を解く上でカギを握る中国の役割をどう見るのか。そんな質問が相次いだ。

 

シャーマン氏は、北朝鮮の相次ぐ実験実施は、能力向上や知識の習得につながるため「危険な行動」であると強い懸念を表明した。米国は、非核化を議題とする協議にいつでも応じる考えがあると強調し、制裁強化が有効な手段であるとの考えを示した。ただ、イランとの交渉の経験をもとに、相手を交渉のテーブルにつかせるだけでは、問題解決を図るには不十分との認識を示した。

 

中国は、国境を接する北朝鮮の崩壊を強く気にかけている現状があると指摘。イランに科したような厳しい制裁措置を、北朝鮮に対して実施するのは難しい現状にあると紹介した。米日韓中の4カ国が粛々と連携して北朝鮮に圧力をかけ続けることが重要との現実論を展開した。

 

また、韓国が今回の実験を受けて、米軍の迎撃ミサイル配備に向けた交渉を始めると表明したことを歓迎、多層的なミサイル防衛(MD)システムの構築が重要と訴えた。


ゲスト / Guest

  • ウエンディー・シャーマン / Wendy Ruth Sherman

    アメリカ / USA

    前国務次官 / Former Under Secretary of State for Political Affairs / Senior Counselor at Albright Stonebridge Group

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