2016年01月28日 15:30 〜 17:00 9階会見場
研究会「文系学部はどうなる」 室井尚 横浜国立大学教授

会見メモ

『文系学部解体』の著者、室井尚横浜国立大学教授が国立大学の現状、大学改革のあり方について話し、記者の質問に答えた。
司会 倉重篤郎 日本記者クラブ企画委員(毎日新聞)


会見リポート

今、国立大で何が起きているのか

倉重 篤郎 (毎日新聞社専門編集委員)

とにもかくにも怒りがとまらない。そんな1時間半の会見だった。

 

怒りの矛先は、第二次安倍政権による人文系教育の軽視にあった。2015年6月の文科相通達は、全国に86ある国立大に対し、教員養成系大学の中にある新課程という教員志望以外の学生が勉強できる人文系課程の一律廃止と、文学部系学部一般の縮小を露骨に命じるものだった。

 

室井氏が課程長をつとめる横浜国立大教育人間科学部人間文化課程(定員150人)も新課程にあたるという理由から廃止対象になった。だが、室井氏は納得できない。大学側に何の相談もなかったし、30年近くかけて高い受験倍率を誇る人気学科に育ててきた自負があるからだ。室井氏によると、他大学にも類似優良新課程は数多くある。と同時に、この人文系軽視の流れは国立大一般、私大にも行き渡っている。例えば、東大文学部も4学科が1学科になる方向だ、という。

 

室井氏は「人文系教育は長いスパンでの歴史的、文脈的視点を教える。アウェイでも闘える人材を作ることができる」と理系偏重に警告を発する。それにしても、なぜ安倍政権は人文系大学つぶしを急ぐのか。室井氏著『文系学部解体』(角川新書)が参考になる。


ゲスト / Guest

  • 室井尚 / Hisashi Muroi

    日本 / Japan

    横浜国立大学教授 / Professor, Yokohama National University

研究テーマ:文系学部はどうなる

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