2016年01月28日 14:00 〜 15:00 10階ホール
「3.11から5年」③菅原茂 宮城県気仙沼市長

会見メモ

気仙沼市の菅原市長が会見し、記者の質問に答えた。
司会 山﨑登 日本記者クラブ企画委員(NHK)


会見リポート

社会課題の解決伴う復興をめざす

大西 直人 (西日本新聞社論説委員)

宮城県北東部にあり、太平洋に面した気仙沼市は、東日本大震災で震度6弱から5強の激しい揺れと津波に襲われた。破壊された漁業燃油タンクから流出した重油が燃え広がり、火の海と化した映像は今も記憶に鮮明に残る。市全体が最大で1㍍以上も地盤沈下したことも特徴だという。

 

警察発表で死者1042人、行方不明220人。震災関連死は108人を数える。大震災直前の人口7万4247人は昨年12月末で6万6733人と7514人減少した。一昨年12月末と比較しても924人減と歯止めはかからない。

 

大震災の1年前に初当選し、現在2期目の菅原市長は、住宅再建、産業復興、地方創生という3つの側面から現状を説明した。復興全体について「過疎地で災害が起きると、民間資本は復興にあまり寄与できない。公的セクターの役割が大きい」と語った。

 

大震災の年の10月に気仙沼市がまとめた復興計画は「海と生きる」と題している。過去に何度も津波に襲われながら、海を敵視せず、人間は自然の一部であると対等の関係を築いて海と生活して再起を果たしてきたという意味だ。

 

基幹産業は水産業である。気仙沼市の製造業出荷額の8割を水産加工品が占めるが、ほとんどの事業所が海岸にあるため被災した。しかもリアス式海岸。菅原市長は「気仙沼ではコンパクトシティーはできない。元の集落を生かし、なりわいとコミュニティーを大切にする復興に取り組んでいる」と説明した。

 

水産業は消費者の魚離れ、資源の減少、就業者の減少などで、日本全体として厳しい局面にある。そうした逆風下で基幹産業をどう復活させるか。観光と水産を融合する魚市場の建設、津波対応型造船施設の整備などを挙げた菅原市長の「復興事業は社会課題の解決を伴うべきだ」との言葉が印象に残った。


ゲスト / Guest

  • 菅原茂 / Shigeru Sugawara

    日本 / Japan

    宮城県気仙沼市長 / Mayor, Kesennuma City

研究テーマ:3.11から5年

研究会回数:3

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