2015年11月18日 15:00 〜 16:00 10階ホール
ダナ 駐日仏大使 会見

会見メモ

ティエリー・ダナ駐日フランス大使が、11月30日から12月11日までパリで開かれる国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP21)について話し、記者の質問に答えた。11月14日にパリで起きたテロ事件についても触れた。
司会 服部尚 日本記者クラブ企画委員(朝日新聞)
通訳 三宅薫子(フランス大使館)


会見リポート

テロ後もフランス人の生き方は変わらない

丹内 敦子 (朝日新聞フォーラム事務局)

パリ同時多発テロ(日本時間11月14日早朝発生)から4日目の18日午後、ダナ駐日仏大使が会見した。同じ頃、パリ近郊サンドニでは、容疑者グループと仏警官隊の銃撃戦が繰り広げられた。まさにオランド大統領が非常事態を宣言し、「フランスは戦争をしている」とした状況のまっただ中での会見となった。

 

大使は憔悴した様子だったが、月末からパリ郊外で始まるCOP21について淡々と説明した。まず予定通り開催すると強調。予備会議では先進国と途上国との対立が鮮明になっているが、COP21は「終着点ではなく、むしろ始まりだ。今後の方向付けになる会議」と位置付け、議長国として妥協点を粘り強く探る考えを示した。「世界中に暴力や狂信が横行する中、1つの目標をもって共に協力しあえるものがあるとすれば、それは環境問題だ」と述べ、各国がさまざまな違いを乗り越えるべきだと主張した。

 

質疑応答ではテロに質問が集中。観光への打撃は「一時的なものになることを望む」とし、「日本の皆さんが愛するフランスは、ずっとそのままだ。文化や、生活を楽しむというフランス人の生き方は変わらない」と言い切った。その一例として、飲食店のテラス席にいた人もテロの犠牲になったが、テロ後にも皆が好むテラスでの食事を敢行して「自分たちの生き方は変えないことを示した」と人々の行動を紹介した。

 

フランスでは18日、オランド大統領がシリアからの難民3万人を受け入れると表明。「フランスの人道主義の責務だ」と述べた。テロ容疑者にギリシャ経由で難民入国したと疑われる者がいても、だ。フランスの人々の冷静で毅然としたこうした対応こそが、テロの元になる「憎しみの連鎖」を、時間はかかるが確実に断ち切っていくのだと思う。


ゲスト / Guest

  • ティエリー・ダナ / Thierry Dana

    フランス / France

    駐日大使 / Ambassador to Japan

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