2015年10月21日 14:00 〜 15:15
セルダヘイ・イシュトバーン 駐日ハンガリー大使 会見

会見メモ

セルダヘイ駐日ハンガリー大使が難民・移民政策などについて話し、記者の質問に答えた。
司会 脇祐三 日本記者クラブ企画委員(日本経済新聞)


会見リポート

難民殺到に直面する欧州各国

フェンスを築き催涙弾まで使い、難民を入国させまいとする「悪役」のイメージが強かったハンガリー。セルダヘイ大使の話で、話はそんな単純ではないと納得した。域内で最初に入国した国で難民申請し、認定され滞在が認められる―という欧州連合(EU)のルールを守ろうとしただけだという。しかし、難民らは国境審査を免除するシェンゲン協定を利用してEU域内の国々を通過し、駅などに殺到し不法滞在。ドイツめざして徒歩で移動し畑にまで入った。

 

秩序を取り戻すため、フェンスを作るしかなかった。国境を閉鎖したのではなく、検問所は増やし、入国審査を合法的にできるようにしたのだという。

 

催涙弾も難民らが投石したのに応戦し、発砲したという。一方で、「今のハンガリー社会には大勢のイスラム教徒を受け入れる自信はない」と、異文化に不慣れな国情も認めた。

 

スウェーデンのローバック大使は、1850年以降、国民の3分の1が貧困から逃れるため米国に渡ったが、2度の大戦に巻き込まれなかったため国が豊かになり、移民が流入するようになった歴史を紹介。

 

「命を救うこと」を優先するスウェーデン政府の方針を示す一方で、難民や移民の受け入れに反対する政党への支持率が約17%に上り、世論も分かれつつある事情も説明。難民施設への放火についての質問には「詳細が分からず具体的なコメントはできない」と述べるにとどまった。

 

会見翌日、移民を狙ったとみられる学校襲撃事件が起き、反移民感情への懸念が現実の悲劇になってしまった。

 

(この会見リポートは同日実施のマグヌス・ローバック・駐日スウェーデン大使会見との統合版です)

 

東京新聞・中日新聞論説委員 熊倉 逸男


ゲスト / Guest

  • セルダヘイ・イシュトバーン / István Szerdahelyi

    ハンガリー / Hungary

    駐日大使 / Ambassador to Japan

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