2015年10月09日 15:00 〜 16:30 9階会見場
其田真理 特定個人情報保護委員会事務局長 「大丈夫か、マイナンバー」②セキュリティはどこまで必要か

会見メモ

特定個人情報保護委員会の其田真理事務局長が、マイナンバーの取扱、管理にについて話し、記者の質問に答えた。
司会 竹田忠 日本記者クラブ企画委員(NHK)


会見リポート

便乗商法にも警鐘

国民全員に、一生変わらない12桁の番号をつけるマイナンバー制度。法律施行をはさんで2度目の集中勉強会が開かれた。依然として国民の理解が進んでいないのはなぜなのか? そして、後半の2回は、番号問題に隠れてあまり議論されることのない、個人情報保護法の特別法というマイナンバー法の正体に迫る議論が交わされた。

 

民主党政権下で制度の検討が始まって以来、現場を指揮するミスターマイナンバー・向井氏は、高齢化で膨らみ続ける社会保障を賄うためには、所得や資産に比例して、より多くを負担してもらう仕組みが必要であり、そのためには番号によるそうした情報の把握や連携が重要で、マイナンバーは、日本の将来のためには不可欠な制度と指摘。しかし、効率や利便性を高めるために、制度の半分はIT政策でできていて、この部分が分からないと混乱してしまうと話し、周知活動の難しさについて述べた。

 

さらにマイナンバーの理解を難しくしているのは、企業が番号を扱うルールが、取得・利用そして廃棄に至るまで、法律やガイドラインでこと細かに規定され、罰則まであること。法律の順守に目を光らせる其田氏は、マイナンバー保護の重要性を指摘した上で、便乗商法にも警鐘を鳴らした。これは特に中小企業などに対して、一部の業者が、高額のソフトや設備を買わせているもので、国が求めているのは、そういう特別な対応ではない。大事なものは鍵のかかる所にしまってくださいというようなシンプルなものだとして理解を求めた。

 

一方、番号をめぐる本当の課題は、単に個人情報を保護すればいい、ということではない。番号による個人情報の連携に、そもそもどういう問題があるのか? そこにどういう注意が必要なのか、そしてどういう歯止めを考えておく必要があるのか? そうした本質的な議論がなされていないことこそが問題だと指摘するのが宮下氏。ビッグデータで個人情報の利活用に焦点があたる中、マイナンバー導入をきっかけに、プライバシーの意味を再確認し、そして復権させることが重要だと主張した。

 

最後にメディアに関する問題を指摘したのが岡村氏。個人情報保護法の特別法であるマイナンバー法の最大の課題は、マスメディアの適用除外条項が事実上欠如していることだと説明。たとえば調査報道でマイナンバーを裏付け資料として使うことが違法とされかねない。それなのにメディア自身が、このことを十分に分析、自覚できていないのではないかと強調。いまだに個人情報保護法が、取材を拒否する口実に使われている実態なども踏まえた上で、メディア自身がこの問題に関心を持つべきではと指摘した。

 

企画委員 NHK解説委員

竹田 忠

 

(この会見リポートは、マイナンバー研究会(全4回)の統合版です)


ゲスト / Guest

  • 其田真理 / Mari Sonoda

    日本 / Japan

    特定個人情報保護委員会事務局長 / Secretary General, Specific Personal Information Protection Commission

研究テーマ:大丈夫か、マイナンバー

研究会回数:2

ページのTOPへ