2015年09月25日 10:00 〜 11:00 10階ホール
「南シナ海問題」カルピオ フィリピン最高裁判事 会見

会見メモ

フィリピンのアントニオ・カルピオ最高裁判事が中国の南シナ海への進出について国際法や歴史の観点から話し、記者の質問に答えた。
司会 会田弘継 前日本記者クラブ企画委員長
通訳 池田薫(サイマル・インターナショナル)


会見リポート

「法」は弱小国を助けられるか

会田 弘継 (共同通信客員論説委員)

9月末の米中首脳会談でも、南シナ海の領有権問題で進展は一向に見られなかった。オバマ米大統領が中国による岩礁の埋め立てや滑走路の建設に懸念を示せば、習近平中国国家主席は広範な領有権を主張し、「合法的権益」だと譲らない。

 

その首脳会談の当日、この問題について国内外で活発に発言しているフィリピン最高裁のカルピオ判事を迎え、中国と領有権を争う同国の主張を聞いた。

 

フィリピン政府は問題をハーグの常設仲裁裁判所に持ち込んで争っている。判事に聞けば、その裁判で政府のアドバイス役を買って出ている、と言う。アドバイスどころか、提訴を主導したのがカルピオ判事だ、と外交筋は言う。

 

三権分立はどうなっているのか、と素朴な疑問が生じる。実際、それを問うような質問も会見で出た。判事は、あくまで「一市民として」政府を助けているのだと言う。フィリピンは軍事力で中国に抗しようもない。「法」による解決を求めるほかないのだ、と判事は訴える。

 

今の国際法体系に、大国に立ち向かう弱小国を助ける力が果たしてあるのだろうか―。注視していきたい。


ゲスト / Guest

  • アントニオ・カルピオ / Antonio Carpio

    フィリピン / Republic of the Philippines

    最高裁判事 / Senior Associate Justice, Supreme Court

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