2015年09月24日 15:00 〜 16:45 10階ホール
井上恭介 NHKエンタープライズ エグゼクティブ・プロデューサー 著者と語る『里海資本論』(角川新書)

会見メモ

NHKエンタープライズの井上恭介氏が、著書『里海資本論』やNHKスペシャル「里海 SATOUMI」について話し、記者の質問に答えた。
司会 瀬口晴義 日本記者クラブ企画委員(東京新聞)


会見リポート

「里海」―瀬戸内海再生が問うものを伝える

瀬口 晴義 (企画委員 東京新聞社会部長)

映像が持つ圧倒的な力を見せつけられた。瀬戸内海の自然の回復を描いたNHKスペシャルの番組を見た感想だ。『里海資本論』は40万部を超えるベストセラーになった前著『里山資本主義』に次いで、番組の放映後、井上さんが活字で世に問うた新書である。

 

高度成長が進んだ1970年代、窒素やリンなどの富栄養化物質が海に大量に流れ込んだ。窒息状態になった瀬戸内海は年間300日近く赤潮が発生。コンビナートが林立する海岸は遊泳禁止に。豊かさと引き換えに瀕死状態になった瀬戸内海が今、よみがえりつつあるという。その主役はカキ筏(いかだ)というから驚きだ。筏1台に50万個が付着するというカキの浄水能力は「海のゆりかご」であるアマモも復活させた。自然任せにするのではなく、人が積極的に関わることで失われた自然が回復したのである。

 

知られているようで知られていない事実を掘り下げて再構築する井上さんの手腕の秘訣を問うと「見ているようで見ていない、伝えているようで伝えていないことがある。それを自分自身に問い続けています」とシンプルな答えが返ってきた。


ゲスト / Guest

  • 井上恭介 / Kyosuke Inoue

    日本 / Japan

    NHKエンタープライズ エグゼクティブ・プロデューサー / Executive Producer, NHK Enterprises

研究テーマ:『里海資本論』

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