2015年08月07日 14:00 〜 15:30 9階会見場
福永文夫 獨協大学教授 著者と語る『日本占領史 1945-1952 東京・ワシントン・沖縄』

会見メモ

獨協大学の福永教授が今年の読売・吉野作造賞を受賞した『日本占領史 1945-1952 東京・ワシントン・沖縄』について話し、記者の質問に答えた。
司会 星浩 日本記者クラブ企画委員(朝日新聞)


会見リポート

「憲法と安保」のせめぎ合いとは

星 浩 (企画委員 朝日新聞特別編集委員)

終戦から70年の夏。戦後日本の原点を考えるには格好の書である。著者の福永文夫・獨協大教授に「書ききれなかったこと」などを聞いた。

 

「マッカーサーが上司の言うことを聞かずに独断で占領政策を進めたことは、米国の大きな誤算だった」そうだ。戦後改革はGHQ(連合国軍総司令部)が押しつけたと言われるが、現実には「GHQも自分たちが作って制定された憲法に拘束された。民法改正などはGHQの意思に反して憲法の精神にのっとって進められた」と言う。

 

戦後日本の政治が「憲法と安保」という2つが引き寄せ合って1つにならない楕円の中に展開したという見解も興味深い。まさに国会で審議されている集団的自衛権の行使を容認するための安全保障関連法案をめぐって、憲法と安保という2つのせめぎ合いが問われている。日本政治の本質を探るために指標になった。ワシントン、東京に加えて沖縄からの視点を加えていることも、普天間問題のルーツを考える上で参考になる。

 

7年前の『大平正芳』に続く好著。われわれ政治記者もうかうかしていると、福永氏のような実証派の学者に領分を侵されてしまう。


ゲスト / Guest

  • 福永文夫 / Fumio Fukunaga

    日本 / Japan

    獨協大学教授 / Professor, Dokkyo University

研究テーマ:『日本占領史 1945-1952 東京・ワシントン・沖縄』

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