2015年06月19日 16:00 〜 17:30 10階ホール
西修 駒澤大学名誉教授、百地章 日本大学教授 「憲法と安保法制」②

会見メモ

集団的自衛権の行使容認を含む安全保障関連法案を「合憲」とする立場から、西修、百地章両教授が話し、記者の質問に答えた。
司会 川村晃司 日本記者クラブ企画委員(テレビ朝日)


会見リポート

「人数の多い少ないではない」西氏 「学者の解釈、法的拘束はない」百地氏

笹島 雅彦 (読売新聞出身)

憲法改正を志向し、安全保障関連法案については「合憲」との見解を示す。護憲派が主流を占める憲法学界では少数派のお二人の登場である。

 

西氏は、憲法第9条(平和条項)と第66条2項(文民条項)が不可分の関係にあり、自衛権の行使はもちろん、「自衛戦力」の保持も認められる、と主張する。国連憲章第51条は、個別的自衛権とともに集団的自衛権を主権国家の持つ「固有の権利(自然権)」として、両者を区別していない。集団的自衛権の目的は「抑止効果」であり、その本質は「抑止効果に基づく自国防衛」。今回の法案は、「新3要件」など限定的な集団的自衛権の行使容認であり、明白に憲法の許容範囲だ、と力説した。

 

百地氏は、憲法第9条には、集団的自衛権の行使を「禁止」したり、直接「制約」したりする明文規定が存在しない。それゆえ、わが国が国際法上、行使しうることは明らかである、と指摘。砂川事件最高裁判決については、集団的自衛権を射程に入れたうえで、わが国が「自衛権」を有し、「必要な措置」を取りうることを認めている、と評価した。

 

長谷部氏らの違憲説に対して、両氏は「理由がはっきりしない」と切って捨てた。合憲説が少数派にとどまっている点について、西氏は、「人数が多いから正しいのか。学説は、人数の多い少ないではない」と反論した。百地氏も、学者の解釈はあくまで「私的解釈」であって、政府や国会を法的に拘束しない。「有権解釈」として決定的意味を持つのが最高裁判例だ、と念押しした。

 

4氏は鋭く対立しているように映る。だが、少なくとも、自衛隊の存在を容認する共通基盤が生まれているように思う。では、護憲派主流の学者たちは相変わらず、自衛隊違憲説に立ったうえで、今回の法案に反対しているのか。一度聞いてみたい。


ゲスト / Guest

  • 西修 駒澤大学名誉教授、百地章 日本大学教授 / Osamu Nishi, professor emeritus, Komazawa University / Akira Momochi, professor, Nihon University

    日本 / Japan

研究テーマ:憲法と安保法制

研究会回数:2

ページのTOPへ