2015年06月16日 14:00 〜 15:30 9階会見場
「戦後70年 語る・問う」⑳ 小長啓一 元通産次官

会見メモ

84年から86年まで通産次官を務めた小長啓一氏が「政治家 田中角栄の決断と実行の一齣 ―日本列島改造、オイルショックへの対応、原発推進等エネルギー政策等について―」と題して話し、記者の質問に答えた。
司会 脇祐三 日本記者クラブ企画委員(日本経済新聞)


会見リポート

「日本列島改造論」田中角栄と歩んだ経済史

長澤 孝昭 (時事通信出身)

高度経済成長が終わりを迎える1970年代前半の日本を引っ張った異能の政治家・田中角栄に2度仕えた人物が「昔話」を語った。1度目は通産相秘書官、2度目は首相秘書官として。日米繊維交渉では米側の輸出規制要求を受け入れる一方、逸失利益を「国内措置」でカバーした。小長氏は、「思い切った決断をし、責任は自分がかぶる姿に政治家の真骨頂を見た」とたたえたが、この政治手法は後に牛肉・オレンジ交渉対策費、ウルグアイ・ラウンド対策費などの財政悪化要因になっていく。

 

もう1つは首相就任時に直面した第一次石油ショックへの対応。狂乱物価などの異常事態を、石油二法の制定や省エネ政策で乗り切ったものの、資源外交に奔走する中、田中金脈問題で失脚した。後にキッシンジャー元米大統領補佐官が中曽根元首相との対談で「(その後発覚したロッキード事件は)やり過ぎだったと語っているのを聞いて、米国の虎の尾を踏んだかもしれないと思った」と「謀略説」の根拠を明かしてみせた。93万部のベストセラー『日本列島改造論』のゴーストライターの1人の証言は、やはり単なる「昔話」ではなかった。


ゲスト / Guest

  • 小長啓一 / Keiichi Konaga

    日本 / Japan

    元通産次官 / Former Administrative Vice‐Minister Of International Trade And Industry

研究テーマ:戦後70年 語る・問う

研究会回数:20

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