2015年05月14日 15:00 〜 16:30 9階会見場
植木千可子 早稲田大学教授 「日米安保を考える」①

会見メモ

『平和のための戦争論: 集団的自衛権は何をもたらすのか?』などの著書がある植木千可子教授が、日本の安全保障環境についての考察などを話し、記者の質問に答えた。
司会 星浩 日本記者クラブ企画委員(朝日新聞)


会見リポート

安保法制見直し これでは日本の抑止力は高まらない

谷田 邦一 (朝日新聞専門記者(防衛担当))

日本の安全保障政策の一大転換となる安倍政権の法制整備に、数々の疑問を投げかけ、望ましい方向はどうあるべきかを複眼的に論じた。

 

まずは中国の台頭を理由に挙げる安倍政権の大前提に対し、集団的自衛権の行使を可能にすることで本当に抑止力が高まるのかと切り込んだ。

 

分析は明快だ。抑止が働くための要件である日本の武力行使の基準に「明確さがない」。また、基盤となる日米韓3カ国の足並みが乱れている。

 

さらに「早い段階から中国との戦いに米国を巻き込みたい」日本と、「経済依存の深まりから、中国と不要に対立したくない」米国とのギャップなどを並べ「抑止が増すことはない」と断じた。

 

しからば日本はどうすべきか。「処方せん」として①武力を使うのはどういう場合か国民が平時から議論する②中国との危機管理メカニズムを確立する③先の戦争を歴史検証する―などを提案。「戦争は割に合わないと思えるような戦争防止のルール作りなどが大切」と強調した。

 

元新聞記者らしく視線が低めでわかりやすかったが、法制見直しによる利点への言及が乏しく、やや物足りなさも覚えた。


ゲスト / Guest

  • 植木千可子

    早稲田大学教授

研究テーマ:日米安保を考える

研究会回数:1

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