2015年05月20日 16:00 〜 17:30 10階ホール
著者と語る 伊勢﨑賢治 東京外国語大学教授『本当の戦争の話をしよう~世界の「対立」を仕切る』

会見メモ

『本当の戦争の話をしよう: 世界の「対立」を仕切る』の著者、伊勢崎教授が、NGO・国際連合職員として世界各地で紛争処理、武装解除などに携わった経験について話し、記者の質問に答えた。
司会 星浩 日本記者クラブ企画委員長(朝日新聞)


会見リポート

日本の果たすべき役割とは 現場から安保法制論じる

星 浩 (企画委員 朝日新聞特別編集委員)

集団的自衛権の行使を容認するための安全保障法制が国会に提出され、実質的な論戦がスタートした5月20日午後3時からの党首討論。その直後の4時からという絶妙のタイミングの会見だった。PKO(国連平和維持活動)などでの経験が豊富な伊勢﨑教授が「現場から考える」安保法制の問題点を指摘してくれた。

 

最近のPKOには「住民の保護」という大きな役割があり、停戦合意が破られたからといって、すぐに逃げるわけにはいかないという。一連の安保法制の説明の中で、安倍首相ら政府側は「派遣された自衛隊は、戦闘が始まったら活動を中止し、退避する」と説明しているが、現実には容易に退避はできないというのだ。

 

自衛隊の派遣に当たり、前線と後方の区別をつけて「後方支援だけが可能」という日本独特の理屈も、世界には通用しないそうだ。紛争地では前線も後方もないという伊勢﨑氏の説明には説得力がある。

 

安保法制をめぐる国会論戦は、難解な用語が多用され、抽象的な議論になりがちだ。そうした取材を続けている若手記者諸兄に、ぜひ聞いてほしい「現場感覚」だった。


ゲスト / Guest

  • 伊勢﨑賢治 / Kenji Isezaki

    日本 / Japan

    東京外国語大学教授 / Professor, Tokyo University of Foreign Studies

研究テーマ:著者と語る『本当の戦争の話をしよう~世界の「対立」を仕切る』(朝日出版社 2015年1月)

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