2015年04月24日 10:30 〜 12:00 10階ホール
「戦後70年 語る・問う」⑮川島真 東京大学大学院教授

会見メモ

東京大学大学院の川島真教授が、中国を中心に日本の戦後外交について話し、記者の質問に答えた。
司会 杉山祐之 日本記者クラブ企画委員(読売新聞)


会見リポート

歴史から見えてくる中国の対日姿勢

杉山 祐之 (企画委員 読売新聞論説委員)

戦後70年間の日中関係史について、事実を一つひとつ、淡々と積み上げながら、中国の対日姿勢の背景を鮮やかに浮かび上がらせてみせた。

 

例えば歴史問題では、戦後の漢奸裁判などから説き起こした。「親日派」を民族の裏切り者として断罪した裁判の影響の大きさに納得する。

 

改革開放を進めた鄧小平氏も、「経済は日本に学ぶが、歴史は忘れない」と述べたという。「鄧氏は親日、江沢民氏は反日」との通説は「誤解」だったか。「近年、経済面での対日依存が縮小し、残ったのは歴史」は、日本人の実感でもある。

 

戦後50年の村山首相談話に対する中国側の態度の変化も興味深い。発表当初は強い反応は示さなかったが、今では、日中間の「共通の言語」として位置づけているという。

 

安倍首相の戦後70年談話については、1980年代以降、日本での歴史をめぐる議論が中国に拡大してきた経緯を踏まえ、「中国は、日本国内でどんな議論が起こるかを注視している」と語った。

 

会場からの質問に、「歴史学者が未来を語ると、舌を抜かれる」と笑った。だが会見は、未来へのヒントも、ぎっしり詰まっていた。


ゲスト / Guest

  • 川島真 / Shin Kawashima

    日本 / Japan

    東京大学大学院教授 / Professor, Graduate School of Arts & Sciences, The University of Tokyo

研究テーマ:戦後70年 語る・問う

研究会回数:15

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