2015年03月06日 15:00 〜 16:30 10階ホール
著者と語る 大庭三枝 東京理科大学教授 『重層的地域としてのアジア 対立と共存の構図』

会見メモ

東京理科大学の大庭三枝教授が著書『重層的地域としてのアジア 対立と共存の構図』について話し、質問に答えた。

司会 坂東賢治 日本記者クラブ企画委員(毎日新聞)


会見リポート

厄介だが重要なASEANの形成と意味合いを解く

千野 境子 (産経新聞出身)

ASEAN(東南アジア諸国連合)を中心とする地域制度が重要性を増す中、アジアには「そもそもなぜこんなにたくさんの制度が存在しているのか、重層的に構築されてきたことにどういう意味があるのか」着目したのが執筆の動機という。

 

背景に多国間外交の広がりがある。2国間に慣れた日本には、これがなかなかわかりにくい。

 

「大国にとってASEANは面倒くさい。言うことを聞いてくれないので厄介です」と率直に語る。大国を突出させず、バランスを取りつつASEANとしてまとまる。結果は「この数十年、大国もASEANに乗らざるを得なかった」。

 

大国がゴリ押しできないASEANの自信は、プラザ合意以降の経済発展が大きいとする。だが問題はこれから。中国の台頭と米国の再均衡政策の中で、ASEANは中心性を維持できるかどうか。中国は地域制度を利用しようとしており、ASEANを尊重していくのではと大庭氏は見る。

 

ここは見解が分かれるところだけに、もう少し詳しく聞きたかったが、文字通り重層的で込み入る話を、気鋭の国際政治学者は目いっぱい立て板に水で整理した。


ゲスト / Guest

  • 大庭三枝 / Mie Oba

    日本 / Japan

    東京理科大学教授 / Professor at Tokyo University of Science

研究テーマ:『重層的地域としてのアジア 対立と共存の構図』

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