2015年03月05日 13:00 〜 14:30 10階ホール
竹内洋 京都大学名誉教授 「戦後70年 語る・問う」⑭戦後日本と大衆社会

会見メモ

社会学者の竹内洋氏が「戦後日本と大衆社会」をテーマに話し、質問に答えた。
司会 会田弘継 日本記者クラブ企画委員長(共同通信)


会見リポート

「超大衆社会」の危うさ説く

石鍋 仁美 (日本経済新聞編集委員兼論説委員)

新聞社の入社試験に落ちた私が、記者の皆さんの前でお話などしてもいいのでしょうか――。冒頭、そんな枕で聴き手の心をくすぐった後、日本の大衆社会は第2幕、すなわち「超大衆社会」に入った、との持論を丁寧に展開した。

 

これまで大衆社会については2つの危惧が指摘されてきた。1つはエリートが過度に大衆の干渉を受けること。もう1つは逆に、個に分断された大衆がエリートに操作されやすくなることだ。

 

超大衆社会の危うさは「どちらとも違う」。実は存在しない「想像された大衆」を政治家も官僚も文化人も、おみこしとして都合よく担ぐ。一般の人々も世論調査や街頭インタビューでは、この「幻像」を進んで演じる。こうして顔のない「超大衆」が空気となり、メディアや言論空間を支配していく。そういう怖さなのだとみる。

 

騒々しいポピュリズムや反知性主義が日本社会の病として急浮上しつつある。竹内氏の論は、問題の構造をレントゲンのように透視してみせる。処方箋の1つが、極論を嫌い、バランスを重んじる「堅気」層への注目だという。常に新しいもの、珍しい現象を追うメディアが軽んじがちな彼らこそ、本来の大衆=庶民だからだ。


ゲスト / Guest

  • 竹内洋

    京都大学名誉教授

研究テーマ:戦後70年 語る・問う

研究会回数:14

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