2014年12月05日 17:00 〜 18:30 宴会場(9階)
本田悦朗 静岡県立大学教授

会見メモ

内閣官房参与の本田悦朗教授が、消費税10%見送りの影響、アベノミクスの展望について話した。

 

司会 実哲也 日本記者クラブ企画委員(日本経済新聞社)


会見リポート

TINA(ティナ)の決意

滝田 洋一 (日本経済新聞編集委員)

「こんな時に利上げすれば、日本は奈落の底に落ちるぞ」。2000年8月、速水優日銀総裁(当時)がゼロ金利を解除した時、本田氏はニューヨーク連銀のエコノミストから、そう警告された。大蔵省(現財務省)派遣のニューヨーク勤務時代のことだ。

 

ショックを受け勉強してみると、確かに「デフレは資本主義にとって死に至る病」である。帰国後、デフレ克服の重要性を説いて回ったが、その時、図らずも同じ危機感を抱く政治家がいた。安倍晋三氏である。デフレ克服を目指すアベノミクスは、そんな2人の関係から生まれた。

 

今回の消費再増税の延期においても、本田氏は首相の決断に大きな影響を及ぼした。与党の勉強会などで再増税反対の論陣を張り、「会議の雰囲気を首相に逐一メールした」と言う。

 

1年半の増税延期で首相は経済立て直しの時間を買った。政策運営を本来のアベノミクスに戻し、全力を投入するほかない。首相にそう進言し続けた本田氏は、自民党の選挙スローガンに自分の言葉を見いだして驚いた。「この道しかない」

 

英語でいえば、There is no alternative. 頭文字をとって「TINA(ティナ)」。そう、サッチャー元英首相の決めセリフである。


ゲスト / Guest

  • 本田悦朗 / Etsuro Honda

    日本 / Japan

    内閣官房参与 / Special advisor to the cabinet

研究テーマ:10%先送りが問うもの

研究会回数:2

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