会見リポート
2014年10月20日
13:00 〜 14:15
10階ホール
パレスチナ人権活動家 ラジ・スラーニ氏
会見メモ
パレスチナ・ガザ地区で長年、人権擁護活動を続けてきたスラーニ氏が、今夏のイスラエル軍によるガザ攻撃の実状について話した。「私はハマスの信奉者ではない」とする同氏だが、「今回の攻撃は子供や女性が多数殺されており、先例のない残酷なもの」とイスラエルを強く批判した。また「オスロ合意は死んだ」と断言、オバマ米大統領について「行動が伴わず失望した」と述べた。
司会 土生修一事務局長
通訳 中島寛
会見リポート
ガザ地区の悲劇 パレスチナ人の尊厳を守るために
出川 展恒 (NHK解説委員)
パレスチナ人の人権擁護活動で世界的に著名なスラーニ弁護士、今回の訪日は容易ではなかった。故郷ガザ地区が、50日間に及んだイスラエル軍の攻撃で徹底的に破壊され、2100人を超えるパレスチナ人が犠牲になったためである。
スラーニ氏は、繰り返されるイスラエルの大規模攻撃について、「民間施設も標的にし、すべてのパレスチナ人を恐怖に陥れ、抵抗する意志を奪い、国家独立の目標を諦めさせる意図がある」と分析した。そのうえで、「パレスチナ人の抵抗運動は、人間の尊厳を守る正義の戦いであり、不法な占領の終結こそが平和である」と断言。最も差し迫った課題として、7年に及ぶガザ地区の封鎖の解除を要求し続ける考えを強調した。
そして、「イスラエルのネタニヤフ政権が入植地拡大を続けるならば、『2国家共存』は不可能だ。『オスロ合意』は死んだ」と述べた。
何度も逮捕され、命がけの人権擁護活動に身を捧げてきたスラーニ氏。不屈の精神と正義への信念は健在だったが、国家独立の目標実現がいっそう困難になる中で、将来、どんな「パレスチナ国家」をつくるのか、具体的なイメージを描く苦悩も感じられた。
ゲスト / Guest
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ラジ・スラーニ / Raji Sourani
パレスチナ / Palestine
人権活動家・弁護士 / human rights lawyer