2014年09月22日 11:00 〜 12:00 10階ホール
玉木林太郎OECD事務次長兼チーフエコノミスト 会見

会見メモ

経済協力開発機構(OECD)の玉木林太郎・事務次長・チーフエコノミストが、①OECDが9月15日に発表した経済見通し中間審査 ②BEPS(Base Erosion and Profit shifting 税源浸食と利益移転)行動計画の2点について会見した。①では世界経済は緩やかな回復傾向にあるが、労働生産性向上が実質賃金上昇に直結していないなどの問題点を指摘した。②は、多国籍企業が実際に所得を得た国に適切な税を納めていない例が増えていることをうけ、OECDが対策をまとめたもの。プロジェクトの概要、理念、スケジュールについて説明した。

司会 大信田雅二 日本記者クラブ企画委員(テレビ東京)


会見リポート

国際エコノミストの諫言 消費再増税の先送り論を一蹴

滝田 洋一 (日本経済新聞編集委員)

パリに本部を置く経済協力開発機構(OECD)のチーフエコノミストが本業。席の温まる暇がない。この日の会見は豪州ケアンズで開いた20カ国(G20)財務相・中央銀行総裁会議からの帰路だった。


発言はとても率直だ。例えば政府・日銀が掲げる2%のインフレ目標。「2015年春までに2%の物価目標を達成するのは難しい。日銀は15年以降の対応策を早く決めるべきだ」


消費再増税については、先送り論を「財政の信認に関わる問題」と一蹴。目先の景気が多少もたついていても、予定通り15年10月に10%に引き上げるべきだと、あえて筋論を繰り出す。


不都合な真実に触れるのもいとわない。女性の雇用を拡大し潜在成長力を引き上げる、という日本政府の成長戦略に対する評価も、その一例だ。


「女性の就業率向上は重要な課題。だが、それだけで労働力人口の減少を埋め合わせられると考えるのは、現実的ではない」


言葉を選びつつも、「成長力引き上げには、魔法の杖はない」とくぎを刺す。あくまでも経済合理性を追求する発言は財務官時代と変わらない。笑顔を絶やさぬ諫言居士に、一段と磨きがかかった感じだ。


ゲスト / Guest

  • 玉木林太郎 / Rintaro Tamaki

    日本 / Japan

    OECD事務次長兼チーフエコノミスト / Deputy Secretary-General, Chief Economist of OECD

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