2014年09月10日 15:00 〜 16:30 10階ホール
「中国とどうつきあうか」 ⑪ 津上俊哉 現代中国研究家(元駐中国大使館参事官)

会見メモ

通産省時代に中国駐在の経験がある津上俊哉氏(津上工作室代表取締役)が、高度成長は終わったとの認識に基づいて中国経済を短期、中期、長期の問題に分けて分析、政治、外交も含め今後の中国を展望した。

司会 坂東賢治 日本記者クラブ企画委員(毎日新聞)

津上俊哉氏のウェブサイト

http://www.tsugami-workshop.jp/index.html


会見リポート

日中「危険な10年」を いかにくぐり抜けるか

八牧 浩行 (時事通信出身)

中国の政治経済や日中関係について大胆に予測。過去5年間の巨額投資ブームの後遺症が深刻化し、無理な投資を続けられず7・5%成長の継続は困難と明快だった。ただ「中国経済の崩壊はない」とキッパリ。「銀行は国有で中央政府が強力な権限を持ち、財政も抜群に健全」というのがその理由。長期的には少子高齢化が深刻化し、中国のGDP統計の水増し疑惑もあって「中国のGDPが米国を抜く日は来ない」と結論付けた。


習近平政権は「体制維持への危機感」から、改革開放以来の大胆改革、権力の集中、腐敗撲滅などを推進。「救国政権」として広範な階層から支持されており、習氏は「開明的な専制君主」や「中興の祖」となる可能性もあるという。


山積する国内の課題を優先し、対外関係は安定を志向。「対日経済関係重視」が本音で、日中関係は修復に向かう。ただ領土などの「現状変更」を過去の栄華への「復旧」と考える中国の姿勢は「おのれの限界」を悟らないと改まらない。一方で、日本国民の極端な反中感情も「中国の台頭は過去のものになった」と感じるまで消えない。不安定な日中関係はあと10年続き、流動的で危険なこの時期をいかにくぐり抜けるかで21世紀の日本の命運が左右されると提起した。


ゲスト / Guest

  • 津上俊哉 / Toshiya Tsugami

    日本 / Japan

    現代中国研究家(元駐中国大使館参事官) 津上工作室代表取締役 / President of Tsugami Workshop

研究テーマ:中国とどうつきあうか

研究会回数:11

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