2014年08月19日 14:00 〜 15:30 宴会場(9階)
研究会「農協解体」 山下一仁 キヤノングローバル戦略研究所研究主幹

会見メモ

元農水省官僚で『農協解体』(宝島社)などの著書がある山下一仁氏が、農協改革について話した。「農業衰退して、農協は繁栄する」と、農協のあり方を批判し、協同組合としてのあるべき姿について意見を述べた。

司会 村田泰夫 日本記者クラブ企画委員


会見リポート

「農協解体」が農業改革の本丸

志田 富雄 (日本経済新聞編集委員兼論説委員)

安倍政権が改革に力を入れる農業分野は、今年に入り農協に焦点があたった。農協に限らず、山下氏が「廃止は骨抜き」と評する減反など、日本農業が抱えるのはどれも古い問題だ。問題がわかっていながら手を付けられず、あるいは手を付けても押し戻される「猫の目農政」を繰り返した。


どうして欧米のように改革できなかったのか、その答えは「農協にある」という持論は明快だ。農協組織を支えるのは、収入の大部分を農外所得と年金収入が占める「豊かなコメ兼業農家」と、正組合員(農家)を数で上回る准組合員(非農家)。こうした現状を崩されたくないから農業の構造改革を妨害し、兼業農家を滞留させる。


組織の頂点に立つJA全中を解散、あるいは収益源であるJAバンクと共済を分離して政治力を排除することが農業改革の本丸と考える。そうすれば農産物の高い国内価格も是正される、と。


元農水官僚の洞察力で、「規制改革会議の改革案は農協を知り尽くした、改革派官僚の作品」とみる。6月の最終案は「農協の主張に乗っかって骨抜きになった」と話すが、その読みには改革が前に進む期待も残る。


ゲスト / Guest

  • 山下一仁 / Kazuhito Yamashita

    日本 / Japan

    キヤノングローバル戦略研究所研究主幹 / Research Director of The Canon institute for global studies

研究テーマ:農協解体

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