2014年08月05日 12:00 〜 13:30 10階ホール
昼食会 小林喜光 三菱ケミカルホールディングス社長 成長戦略には何が必要か 現場からの視点9

会見メモ

三菱ケミカルホールディングスの小林喜光社長が、サステナビリティ(環境・新エネルギー)、ヘルス(健康・医療)、コンフォート(新素材)の3分野に寄与する「The Kaiteki Company」としての経営理念について説明後、質問に答えた。

司会 水野裕司 日本記者クラブ企画委員(日本経済新聞社)


会見リポート

利益追求だけでいいのか 温暖化防止、健康・医療への貢献を

水野 裕司 (企画委員 日本経済新聞論説副委員長)

小林氏は原子力発電所の事故を「劇症肝炎」にたとえた。一度に地域に大打撃を与えるためだ。これに対して二酸化炭素(CO2)排出の増大による地球温暖化は「慢性の糖尿病」という。じわじわと地球をむしばむ様子を表している。どちらも影響が深刻な点は同じだ。


温暖化防止の視点に健康・医療への貢献や顧客・従業員の満足度向上などを加えて、小林氏は「KAITEKI(快適)経営」を標榜する。「ROE(株主資本利益率)向上など利益の追求だけでは企業価値は高まらない」。企業経営の流れを先取りしている自負がうかがえた。


「欧米の経営者は10年前なら『グローバリゼーション』を唱えていたが、いまはどの経営者も、まず『テクノロジー』と言っている」。画期的な技術を生み出せば劣勢を一気に挽回して競争優位に立てる。世界の潮流に遅れないよう技術開発が一段と重要だと、自戒を込めているようにみえた。


ただ「(全く新しいものを創造する)イノベーションは、簡単ではない」と言う。「ほかとの少しの違いをいかにして出すか。その積み上げが現実的」。収益力強化はなお途上にあり、苦渋もにじんだ。


ゲスト / Guest

  • 小林喜光 / Yoshimitsu Kobayashi

    日本 / Japan

    三菱ケミカルホールディングス社長 / President, Mitsubishi Chemical Holdings Corporation

研究テーマ:成長戦略には何が必要か 現場からの視点

研究会回数:9

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