2014年07月30日 14:00 〜 15:00 10階ホール 
研究会「人口減少問題」③ 小田切徳美 明治大学教授(農業・農村政策論)

会見メモ

明治大学の小田切徳美教授(農業・農業政策論)が、「増田レポート」の衝撃と影響、その論点について整理した。市町村消滅から「農村たたみ論」が出てくる中、若者の田園回帰が増えており、島根県周辺部の人口増加などについて説明した。

司会 村田泰夫 日本記者クラブ企画委員


会見リポート

農村と日本社会の岐路 「田園回帰」の流れ広げたい

尾原 浩子 (日本農業新聞農政経済部社会グループ)

「推計を受け入れてあきらめるのか、田園回帰の実践に学び未来を変えるのか」。人口減少問題にどう対応するのか、日本社会が分岐点にいることを問いかける会見だった。


2040年に日本の半数近い市町村が消滅する可能性があると予測した日本創成会議の推計を「乱暴」だとして問題視。「推計は将来消滅するなら撤退するべきという『農村たたみ論』につながる」と警鐘を鳴らした。人口減少は昨今始まったことではない。にもかかわらず、推計がセンセーショナルに注目され、現行政策の急進的見直しにつながりかねないと危機感を訴えた。教授は中山間地を歩き、複数の省庁の過疎関連施策に携わる。農村に寄り添う視点での指摘には、説得力がある。


「農村たたみ」の対極にある動きとして、若者が農村部に移住する「田園回帰」の実態を紹介。中国地方で顕著に見られるこの流れを全国に広げていく必要性を力説した。


人柄を表す丁寧な語り口。一方で「時代の流れや財源を言い訳に農村を消滅させてはいけない」「農村の地域づくりの芽を摘んではならない」という強い覚悟を感じた。


ゲスト / Guest

  • 小田切徳美 / Tokumi Odagiri

    日本 / Japan

    明治大学教授 / Professor, Meiji University

研究テーマ:人口減少問題

研究会回数:3

ページのTOPへ