2014年06月25日 15:15 〜 16:15 10階ホール
3人のジャーナリストに聞く イアン・ブルマ氏(オランダ出身、作家)、マティアス・ナス 独ディ・ツァィト紙チーフ・インターナショナル・コレスポンデント、シルビエ・カウフマン 仏ルモンド紙エディトリアル・ディレクター

会見メモ

欧州議会選挙の結果を3人がそれぞれ評価した後、選挙後のEUの対外関与や欧州委員長選任問題などの質問に答えた。

司会 杉田弘毅 日本記者クラブ企画委員

通訳 西村好美、宇尾真理子 (サイマル・インターナショナル)


会見リポート

欧州ジャーナリストが語る日本観

杉田 弘毅 (企画委員 共同通信編集委員室長)

ジャーナリストをゲストに呼ぶと、肩肘張らない議論が面白い。それも外国人となれば、来日した首脳、閣僚が口にしないような本音の日本観を聞けて、なるほどと思うことが多い。オランダ、ドイツ、フランスの3人の大物ライターも、そうだった。


日本でも翻訳書が多数出ているブルマ氏(右)。軍事面で大きなリーダーシップを日本がとることにアジアの国々は懸念を持つとの見方について、「日本が積極的になり過ぎることを、本当に嫌っているのは米国であり、日米間でこの問題を解決すれば初めてアジアの国々の懸念は解決する」と言う。


ナス氏(左)は日本で戦後の歩みが比べられるドイツが、日本の集団的自衛権の行使容認の動きをどう見ているかについて、「ドイツは北大西洋条約機構(NATO)加盟(1955年)以来、集団的自衛権を使う立場を続けている」とあっさり。一方で、日本の軍事力の向上に伴う不安は軍事でなく、「日本の新しいナショナリズムが問題なのだ」と分析した。


5月末の欧州議会選挙では各国ともナショナリズムを背景に右派政党が議席を伸ばした。ブルマ氏はナショナリズムこそが20世紀の2つの世界大戦を起こしたとの反省から、戦後の欧州は大衆感情を抑えるためにエリートが統治した、これに対する大衆側の反逆が選挙結果に表れたと説明した。


面白かったのは、昨年夏に化学兵器の使用が確認されたシリアへの対応。米欧では対シリア・ミサイル攻撃は必至と見られていたが、結局見送りとなった。カウフマン氏は「8月最終週の週末、ルモンドはいよいよ空爆だと通知され、第一撃の取材態勢をとっていたほどだった」と緊迫の様子を明らかにしてくれた。


ゲスト / Guest

  • イアン・ブルマ氏(オランダ出身、作家)、マティアス・ナス 独ディ・ツァィト紙チーフ・インターナショナル・コレスポンデント、シルビエ・カウフマン 仏ルモンド紙エディトリアル・ディレクター / Ian Buruma, writer, Matthias Nass, Germany, chief international correspondent of Die Zeit, Sylvie Kauffmann, France, editorial director of Le monde

研究テーマ:3人のジャーナリストに聞く

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