2014年06月16日 18:00 〜 19:30 10階ホール 
日本記者クラブ賞受賞記念講演会

会見メモ

2014年度の日本記者クラブ賞を受賞した橋本五郎、山田孝男両記者が、取材体験や政治報道について対談形式で語り、会場からの質問にも答えた。約310人が参加した。

司会 会田弘継 日本記者クラブ企画委員長(共同通信社)

受賞理由、歴代受賞者

http://www.jnpc.or.jp/activities/award/awards-prize/


会見リポート

「書き巧者」は「語り巧者」

今年度の日本記者クラブ賞受賞記念講演会が6月16日午後6時から、10階ホールで行われた。今年は、受賞者の橋本五郎さん、山田孝男さんの2人が政治コラムニストとの共通点もあり、司会者が質問する方式で行われた。


会場は約300人の聴衆でほぼ満員、このうち約8割がはがきやメールで応募してきた一般参加者だった。司会は、2人をよく知る共同通信の会田弘継企画委員長が務めた。


コラムに臨む姿勢として、橋本さんは「自分は間違っているのでは、との気持ちを大事にしている」と懐疑精神の重要性を語り、山田さんは「局面によっては言い切らねば言論にならないこともある」と書き手としての覚悟を強調した。


読者の反応に対しては、2人とも「心が狭いので、けなされると頭にくる」と正直に本音を暴露した。山田さんが「批判の手紙をビリビリに破いて足でギューと…」と、実際に靴で踏みつけるしぐさをすると会場からは大きな笑いが起きた。橋本さんは「丁寧な批判者には電話番号を調べて直接、電話する。相手は不意を突かれ、たいがいは理解してくれますよ」と〝極秘作戦〟を明かしてくれた。


戦後の首相ベスト3については、「吉田茂、中曽根康弘」の2人は共通で、残り1人が「佐藤栄作」(橋本さん)、「岸信介」(山田さん)に分かれた。


また印象に残る政治家として、橋本さんは、「政治とは鎮魂である」との言葉を残した大平正芳氏と、「多忙な政務の合間に杉山寧の展覧会で絵画に見入っていた姿が今でも忘れられない」と藤波孝生氏の名を挙げた。山田さんは「教養派ではなかったが、竹下登さんは人心収攬において底知れぬものを持った政治家だった」と回想した。


穏やかな口調で記者の心構えを説く橋本節に会場がしんみりとなったかと思えば、インターネットが話題になると、青山高校の落語研究会出身の山田さんが「橋本さん、デバイスって知らないでしょう」と皮肉の利いた突っ込みで会場を沸かせる場面もあり、コラムでの名文だけでなく、2人の語り巧者ぶりが十分に発揮された一夜となった。


日本記者クラブ事務局長 土生 修一


<対談を終えて>


*「五郎ワールド」橋本五郎さん


毎日が真剣勝負なんです


会田さんの質問に答えながらずっと念頭にあったのは2つのことでした。現役の記者の皆さんはどう受け取ってくれるだろうか。会場に来られた人やユーチューブでご覧になる人たちも含め、一般の人たちが新聞記者の仕事をどう思ってくれるかということでした。


パソコンを見ながら記者会見に臨むことへの違和感をあえて口にしたのもそのためでした。わずか数行の記事が鋭利な刃物になる恐れを抱きながら、毎日が真剣勝負と思っていることも強調しました。理解されることを祈るばかりです。


*「風知草」山田孝男さん


司会者に誘われるままに


大上段からの受賞記念講演は重荷でしたので、私にとってはありがたい企画でしたが、司会者に誘われるまま、ついバカなことを言ってしまい、重要なご質問に必ずしも的確にお答えできず、面目ありません。


大勢の方々が、わざわざ遠くからお越しくださり、たいへん恐縮しました。終了後、メディア志望の学生の方々から相次いで声をかけていただき、私なりに助言めいたことを申しあげました。あらためて受賞の重み、受賞の責任を感じています。


ゲスト / Guest

  • 日本記者クラブ賞受賞記念講演会

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