2014年05月28日 16:30 〜 17:30 10階ホール
総会記念講演会 五百旗頭真 前防衛大学校校長

会見メモ

歴史・政治学者の五百旗頭真氏が、第一次世界大戦からの教訓などを引きながら台頭する中国を背景にアジア太平洋地域での日本のとるべきスタンスについての考えを述べた。

司会 伊藤芳明 日本記者クラブ理事長


会見リポート

第1次世界大戦からの教訓 優位な国には自制が必要

秋田 浩之 (日本経済新聞論説委員兼編集委員)

五百旗頭氏は第1次世界大戦などの教訓をひもときながら、米中の行方と日本の進路を占った。


「大国の力のバランスが崩れると、平和が危うくなる。だが、それだけでは戦争にならない。優位に立った側が自制を失ったとき、戦争が起きる」。五百旗頭氏によると、これが第1次大戦の教訓だ。台頭したドイツは、名宰相ビスマルクの下では英仏露と巧みに共存し、平和が保たれた。だが、彼が去った後、皇帝が拡張路線に転じ、大戦に入り込んでいった。


では、いまのアジアはどうだろう。中国は国力を増すにつれ、どんどん強気になっている。米国は中国に対抗し、米国優位を保ちたい意思はあっても、余力があるかどうか怪しい……。五百旗頭氏はこう指摘した。あからさまには言わなかったが、第1次大戦前に似た危うさが、アジアを覆いつつあるというわけだ。そのうえで、日本は、日米同盟を深め、対中外交の国際連携を強めるとともに、中国と共同利益を探るべきだ、と訴えた。


このうち前者はすでに安倍政権が手がけている。より難しいのは後者である。


ゲスト / Guest

  • 五百旗頭真 / Makoto Iokibe

    日本 / Japan

    前防衛大学校校長 / Former President of the National Defense Academy of Japan

研究テーマ:総会記念講演会

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