2014年05月08日 15:00 〜 16:30 宴会場(9階)
研究会「戦後補償を考える」 髙木喜孝 弁護士

会見メモ

戦後補償訴訟に詳しい弁護士の髙木喜孝氏が「戦後賠償訴訟の国際環境-国際人道法の精神で平和の再構築を」というテーマで話し、質問に答えた。

司会 坂東賢治 日本記者クラブ企画委員(毎日新聞)

会見リポート

戦後賠償訴訟 歴史的背景と法律的側面

村上 太輝夫 (朝日新聞論説委員)

国をまたぐ法律問題に歴史認識や国民感情の対立まで絡んでくると、実に厄介なことになる。先に中国であった商船三井鉄鉱石運搬船の差し押さえ事件で報道がやや混乱した点からも、それはみてとることができる。私たち記者は読者・視聴者に正確な情報を伝えるため、専門家の力を借りなくてはどうしようもない。髙木弁護士はそんなとき、頼りになる存在だ。


会見では、韓国や中国だけでなく、ドイツが関わった戦後賠償訴訟の紹介にも時間を割いた。欧州、アジア双方に通じた立場で「冷戦構造の崩壊によって個人の戦後賠償請求権を認めていく道が開けた」とする語り口は歴史家のようでもあるし、「国家は現代の国際人道法に劣後する」という考えを前進させようと熱く語る姿は思想家的ですらある。


一方、3月に中国で強制労働事件の訴訟が初めて受理されたことに関しては、同様の動きが直ちに広がるかわからないとする冷めた見方を示した。


戦後賠償訴訟問題の現場で20年余り鍛えられた洞察力の確かさによるものだろう。あらためて感銘を覚えた。


ゲスト / Guest

  • 髙木喜孝 / Yoshitaka Takagi

    日本 / Japan

    弁護士 / Attorney at Law

研究テーマ:戦後補償を考える

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