2014年05月12日 15:00 〜 16:00 10階ホール
ゲーリー・ネル ナショナルジオグラフィック協会会長 記者会見 

会見メモ

本年1月にナショナルジオグラフィック協会会長に就任したゲーリー・ネル氏が会見し、同協会の1888年設立以来の歴史を振り返り、デジタル時代における取り組みについて語った。これまで通り科学と技術を組み合わせ、ストーリーをつくり、それを雑誌、書籍、オンライン、教育分野などに広げていく、と。

司会 脇祐三 日本記者クラブ企画委員(日本経済新聞)

通訳 池田薫(サイマル・インターナショナル)


会見リポート

意見よりも事実の提示を

脇 祐三 (企画委員 日本経済新聞コラムニスト)

「ツナミ」という単語を世界に広めたのは、1896年に明治三陸地震の被害を伝えたナショナルジオグラフィック誌の記事だという。長い歴史のある協会のトップに就いたばかりのネル氏は、かつてテレビの教育番組「セサミストリート」の普及に努め、米国公共ラジオでニュース報道の世界も経験した人だ。


写真を重視する著名な月刊誌は、いま英語のほか世界各国40の言語で刊行されている。テレビのチャンネルは14の言語に広がった。公共性の高いメディアは「インターネットの単純なヒット数で評価されたくない」と同氏は語る。


「写真家に年単位で1つのテーマを追いかけてもらう場合もある」。時間と費用を惜しまない取材への自負は強いが、「これからは写真もビデオもストーリーの叙述もこなすユーティリティー・プレーヤーが求められる」と課題も口にした。


環境やエネルギーの問題など、意見の隔たりが大きく、経済的な利害対立をはらむテーマは多い。誰でも情報を発信できる時代には、「意見よりもまず事実を提示することが重要」。ジャーナリズムの存在意義を、繰り返しそう説いたのが印象に残る。


ゲスト / Guest

  • ゲーリー・ネル / Gary Knell

    アメリカ / USA

    ナショナルジオグラフィック協会会長 / President and CEO of the National Geographic Society

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