2014年04月18日 18:00 〜 19:25 10階ホール 
上映会「夢は牛のお医者さん」

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会見リポート

むら、ひとをスローライフの眼で追う

川島 正英 (朝日新聞出身)

テレビ新潟が製作した。タイトルの通り、主人公の丸山知美さんが小学3年生の時に夢みた道を、まっしぐらに進む物語のドキュメンタリーである。


舞台の新潟県旧松代町(現十日町市)は、過疎のむら。いまや廃校となった小学校は、知美さんが通う頃は在校9人、新入ゼロの年もあった。校長が「子牛を入学させよう」と考えた。子牛3頭を借りて育て〝卒業〟させた。


貧しい農村。出稼ぎ家族も多い。それでも動じない。こころはゆたか。移りゆくむらを優しく、過疎の学校を楽しく。そこをテレビがうまく捉えた。アングルがすばらしい。


だけでなく、26年間、知美さんを、その夢を追い続けた。とにかく、こころを揺さぶり、涙を誘う。


知美さんは、病気に苦しむ子牛を世話しながら牛のお医者さんに…と志した。高校から家族と離れる。乏しい家計を考えれば「浪人はできない、高校3年間はテレビを見ない」と誓って、がんばった。


岩手大学農学部獣医学科は、卒業まで6年かかる。国家試験にも合格、県内の上越市家畜診療所に勤務。二児の母となっている。


監督は、テレビ新潟の時田美昭氏。日本映画大学の前身の映画学校卒業生で、学校を創設した今村昌平監督に学んだそうだ。だからか、イマヘイ流リアリズムも感じさせる。


私ごとだが数年前に、このクラブ会報に、新潟県山古志村を舞台にした「掘るまいか」の試写会の話を書いた。2004年の中越大地震で、山古志の牛の大救出作戦は知られるが、今回の作品に、知美さんもボランティアで参加する姿があって惹かれた。


この作品についても「掘るまいか」を書いたのと同じく、スローライフ視角でいく。その私の眼でいえば、文句なしグランプリである。


(C)TeNY


各地で上映・展開中。劇場公開終了後は自主上映の貸し出しも行います。問い合わせはテレビ新潟(025-283-8140)まで。


ゲスト / Guest

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