2014年04月18日 13:00 〜 14:00 10階ホール
研究会「温暖化問題」 IPCC報告書 三村信男 茨城大学教授(地球環境工学)

会見メモ

研究会「温暖化問題」として、茨城大学副学長の三村信男教授が、横浜で行われたIPCC第38回総会の、第2作業部会で議論された内容について話した。気候変動に対する緩和策について、日本はもっとイニシアティブをとってやっていくべきだが、適応策については、各国の事情によって取り組み方が違ってくる」ことなどを説明した。温暖化についての懐疑論への対応なども説明し、「我々の世代の問題は、我々の世代で解決していくべき」と締めくくった。

司会 小栗泉 日本記者クラブ企画委員(日本テレビ)


会見リポート

災害大国日本 温暖化対策で主導権を

阿部 周一 (毎日新聞科学環境部)

「温暖化の影響は現れている。小麦やトウモロコシの収量は1960年以降、すでにマイナスだ」。穏やかな口調ではあったが、言葉の一つ一つに、牙をむく地球温暖化への危機感がにじんだ。


3月末に横浜市で開かれた国連の「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」第2作業部会の主執筆者。草案を1文ずつ修正していく徹夜の討議の末に公表された報告書は、温暖化の進行が洪水や食糧危機、紛争などさまざまなリスクを増大させると警告した。問われているのは、温室効果ガス削減と同時に、それでも不可避の温暖化被害を軽減する「リスク管理」の発想だ。この点、主要排出国であり、災害大国でもある日本の貢献余地は大きい。三村氏は「世界をけん引するため、震災や原発事故を経験した日本がイニシアチブを取る意義は非常に大きい」と期待を込めた。


一方で、世界中の専門家が警鐘を鳴らしても、「地球は寒冷化する」といった類いの懐疑論は根強い。温暖化影響研究の第一人者は「1万年後に氷期が来ても今世紀の被害には効果がない」と明快に反論。「われわれが引き起こした問題は、われわれの世代で解決するしかない」と締めた。


ゲスト / Guest

  • 三村信男 / Nobuo Mimura

    日本 / Japan

    茨城大学副学長、地球変動適応科学研究機関長 / Vice President, Ibaraki University, Director, Institute for Global Change Adaptation Science

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