2014年04月14日 14:00 〜 15:30 10階ホール
研究会「集団的自衛権を考える」5 齋藤隆元統合幕僚長

会見メモ

集団的自衛権を考える研究会の5回目。「安保法制問題~現場の目から」と題して、元統合幕僚長の齋藤隆氏が話し、記者の質問に答えた。

司会 勝股秀通 日本記者クラブ企画委員(読売新聞)


会見リポート

“準有事”への対応 「新周辺事態」概念を提唱

大石 格 (日本経済新聞論説委員兼編集委員)

集団的自衛権をめぐる論争は法理的な袋小路に入り込みがちだ。国土防衛の最前線に立つ自衛隊は、この問題をどう見ているのか。与野党の憲法論議にはほとんど出てこない新鮮な視点が得られた。


まず指摘があったのは、これまで日本の防衛を考える際の前提だった平時か有事かの区分けでは対処できない事態が起きつつあることだ。


日本と周辺国の紛争が生じた場合、いきなり敵軍が襲来する可能性は低い。漁民風の外国人が離島に上陸し、その救助と称してその国の公船がやってくる。これを自衛隊がいきなり武力で排除するのか。海上保安庁が対処しきれない状況も念頭に置き、自衛隊の任務に領域警備を明記するなど警察権の強化が必要だと説く。


そのうえで、日米が完全に連携する防衛出動と日本が個別対処する領域警備の中間に「新周辺事態(準有事)」という概念を考えてはどうかと提唱した。日本の安全にかかわる場合などに、日米一体化への縛りを緩めるという現実的な判断だ。


安倍政権は憲法解釈の変更の先に日米防衛指針(ガイドライン)の見直しをにらむ。「新周辺事態」的な要素は必ず盛り込まれるはずだ。


ゲスト / Guest

  • 齋藤隆 / Takashi Saito

    日本 / Japan

    元統合幕僚長 / the former Joint Staff Office Chief of Staff Admiral

研究テーマ:集団的自衛権を考える

研究会回数:0

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