2014年03月06日 10:30 〜 11:30 10階ホール
イルヴェス エストニア大統領 記者会見

会見メモ

エストニアのトーマス・ヘンドリク・イルヴェス大統領が会見した。同国がすすめているeガバナンスについて詳細に紹介し、ウクライナ情勢やロシアとの国境画定などの質問に答えた。

司会 川村晃司 日本記者クラブ企画委員(テレビ朝日)
通訳 澄田美都子(サイマル・インターナショナル)


会見リポート

ロシアの軍事介入に危機感あらわ

常盤 伸 (東京新聞外報部デスク兼論説委員)

会見はロシアがウクライナ南部クリミア半島に介入を開始した直後に行われた。長年ロシア(ソ連)に支配された歴史を持つエストニアの元首として、「自国民保護を理由にした軍事介入は、ドイツ人が居住するとの理由でチェコのズデーテン地方を割譲させたナチス・ドイツと同じだ」と危機感をあらわにした。ロシアはその後、瞬く間にクリミア併合を強行し東部侵攻の可能性も出ている。イルヴェス氏の懸念は深まるばかりだ。


北方領土問題との関連でも会見は注目された。同国は2月、ロシアに全面譲歩し国境画定条約に調印したからだ。イルヴェス氏は冒頭で「日本とエストニアは共通の隣国に領土を盗まれた」と明言した。だが第二次大戦に起因する領土紛争でロシアの強硬姿勢に変化はない。経済的圧力も高まり関係安定を優先した格好だ。「小国がこれ以上どうすればいいのか」と無念の心情をにじませた。


しかし日本については「人口規模でロシアに匹敵する」と国力の違いを強調。大国相手でも粘り強く交渉をすべきだ。そんな激励と受け取った。


ゲスト / Guest

  • トーマス・イルヴェス / Toomas Ilves

    エストニア / Estonia

    大統領 / President

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