2013年12月24日 14:00 〜 15:30 10階ホール
研究会「首相の演説と日本の政治」平田オリザ氏

会見メモ

内閣官房参与として鳩山首相のスピーチライターを務めた、劇作家の平田オリザさんが、「首相の演説と日本の政治―政治における対話とはなにか?」と題して話した。

司会 橋本五郎 日本記者クラブ企画委員(読売新聞社)


会見リポート

日本文化に足りないのは「対話力」

瀬口 晴義 (企画委員 東京新聞社会部長)

「技術では負けないと日本の企業はいうけど、どうして新幹線は海外で売れないんだろう。君がドイツやフランスのメーカーの社員だったらどう売り込む?」。大阪大学で教べんを執る平田さんは、対話型の授業で学生に質問を試みる。用意している答えは「あれは日本人だからできること」。1分刻みで運行し、遅延したら文句が出る。確かに、そんな緻密な文化に支えられた技術は海外では使いにくいかもしれない。文明と文化。ネーションとステイト。対話と会話…。言葉の差異に着目する劇作家の発言は飽きさせなかった。


鳩山首相(当時)のスピーチライターとして所信表明演説などの草稿作りに関わった。「命を守りたい」と繰り返した演説は印象深い。民主党政権をつぶさに見た平田さんは失敗の原因を「国家を大きく変えるチャンスだったのに、自覚が民主党議員の一部にしかなかった」と振り返る。「学級委員的な体質。自分の意見が通ると思い、対話やネゴシエーションが苦手だった」。行く末の厳しさは最初から感じていたと率直だ。日本文化に欠けている対話力をどこまで磨けるか。難しくても乗り越えなくてはならない壁だと痛感した。


ゲスト / Guest

  • 平田オリザ / Oriza Hirata

    日本 / Japan

    劇作家 / Playwright

研究テーマ:首相の演説と日本の政治

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