2013年12月18日 14:00 〜 15:30 10階ホール
研究会「デジタル多メディア時代のジャーナリズム」石田英敬・東京大学大学院教授

会見メモ

記号学・メディア論が専門の石田英敬・東京大学大学院教授が、「デジタル多メディア時代のジャーナリズム」と題して、①現在の政治がどのような方向に向かいつつあるかの現状認識、②情報基盤が変化する中でメディアと政治を考える際の留意点、③21世紀初頭を象徴するさまざまなカタストロフィー後の社会の特徴について語った。

司会 会田弘継 日本記者クラブ企画委員長(共同通信社)


会見リポート

「記憶を言葉にする」 ジャーナリズムの使命

会田 弘継 (企画委員長 共同通信特別編集委員)

ハイブラウな勉強会になった。デジタル社会に新たなツールが次々と出現する時代だ。時には、ジャーナリズムが置かれている状況を根源的に考えてみることも必要だろう。


会見はプラトンの『国家』からの引用で始まった。暗い洞窟の壁に映る影を事物の本質だと見立てる囚人のような人間存在、というたとえ。そこにメディアによって動かされる政治や社会の原像がうかがえるという。納得した。


新たなツールの出現でジャーナリズムが右往左往している中、勇気づけられる点がいくつもあった。結局は、「取材力」の大切さに変わりはないという説明。断片的で、確度もさまざまな情報が未整理のままあふれるネット空間に秩序をつくれるのは、その「取材力」だ。新しい事実を発掘する力だ。それがあって初めて、情報の「価値」の秩序がつくれるという。


ハードディスクの中にさまざまな「記憶」をしまっておけるから、人々は「思い出す」という行為をしなくなってきた。そんなデジタル社会で、記憶を言葉にして活性化する大切な作業をするのもジャーナリズムだと指摘され、深くうなずいた。


ゲスト / Guest

  • 石田英敬 / Hidetaka Ishida

    日本 / Japan

    東京大学大学院教授 / Prof., Graduate School of the University of Tokyo

研究テーマ:デジタル多メディア時代のジャーナリズム

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