2013年12月16日 13:00 〜 14:15 10階ホール
研究会「除染と線量」 多田順一郎・NPO法人放射線安全フォーラム理事

会見メモ

NPO法人放射線安全フォーラム理事で伊達市市政アドバイザーも務める、多田順一郎氏が、「除染と線量について」と題して話した。除染については、少し汚染の残る環境と妥協し、生活再建を進めていくべきだ、とした。線量については、ICRPが設定した1年間1ミリシーベルトというのは、放射線施設や設備の設置基準として使われてきたものであり、個人の被ばくの管理に使われたことはない、と。

司会 服部尚 日本記者クラブ企画委員(朝日新聞社)


会見リポート

何のため、誰のための除染か 見定める冷静な視点を

小出 重幸 (読売新聞出身)

東京電力福島第一原子力発電所事故の最も深刻な被害は、放射性物質漏出による地域社会の破壊だった。事故直後から田中俊一・原子力規制委員長らと汚染自治体に入り、除染作業に取り組んできた。放射線影響をめぐって、「現在の日本の基準は妥当か」「低ければ低いほど良いのか」など、さまざまな社会的混乱がある。その背景を、日本では核兵器の恐ろしさを伝えるだけで、放射線を科学的にきちんと教えてこなかった教育行政の失敗にあると指摘する。福島の復興には、何のための除染か、誰のための除染かを見定める冷静な視点が必要だと訴える。


具体的には「してもしようがない除染」「しなくてもよい除染」などの区分を明確にし、線量の高い地域は除染せず、国が買い上げ〝移住して再出発〟を支援する。また少し汚染の残る地域では、環境と妥協して生活再建を図る勇気と、これに向けた行政や社会の支援が現実的な解決をもたらすとする。


放射線を恐れる日本では、実被害以上に健康被害や社会的損失を拡大させていないか、各国の科学ジャーナリストや研究者からしばしば問われるが、多角的な視点から放射線影響の相場観を作るべきだとする指摘は、日本国外の視点とも一致していた。


ゲスト / Guest

  • 多田順一郎 / Junichiro Tada

    日本 / Japan

    NPO法人放射線安全フォーラム理事 / Radiation Safety Forum

研究テーマ:除染と線量

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