2013年12月09日 15:00 〜 16:30 10階ホール
著者と語る『GHQの検閲・諜報・宣伝工作』 山本武利NPO法人インテリジェンス研究所理事長

会見メモ

占領期のメディア研究や検閲研究が専門の山本武利・早大および一橋大名誉教授が著書『GHQの検閲・諜報・宣伝工作』について概要を説明した。GHQのCCD(民間検閲局)が重視したのは一般郵便検閲だったという。この検閲には日本人8000人以上が雇われ、作業工程のフローチャートや検閲要領を定め、綿密な作業を行った、とした。検閲内容は世論調査として利用されていた、とも。

司会 元日本記者クラブ企画委員 春名幹男


会見リポート

GHQ郵便検閲の実態を明らかに

春名 幹男 (共同通信出身)

戦後の占領時代、連合国軍総司令部(GHQ)のインボデン新聞課長が新聞検閲に辣腕を振るった事実はよく知られている。


昔だと「新聞研究」、いまだとメディア研究の分野でつとに有名な山本先生は1990年代から、インテリジェンスの分野に研究の幅を広げ、『GHQの検閲・諜報・宣伝工作』では、GHQが新聞検閲にとどまらず、郵便検閲を行っていたことを明らかにした。さらに、その後の調査研究で入手した日本人検閲者名簿などを、この機会にパワーポイントで詳しく説明した。


GHQが「信書の秘密」を破って、なぜそんな作業を行ったのか。いまもなお全容が解明されていない。それだけに興味が湧いたようで質問が相次いだ。「うちにも開封された手紙が届いた」と打ち明けた人もいて、時間が足りないほどだった。


米国情報機関は冷戦時代、米国─中国・ソ連間の郵便を検閲した。昨年は国家安全保障局(NSA)によるネット上の盗聴が表面化した。その意味でGHQ郵便検閲の研究意義は深い。一橋大と早大の名誉教授の山本先生、いまはNPO法人インテリジェンス研究所理事長で、さらに研究を続ける。


ゲスト / Guest

  • 山本武利 / Taketoshi Yamamoto

    日本 / Japan

    早稲田大学、一橋大学名誉教授 / Professor Emeritus of Hitotsubashi University and Waseda University

研究テーマ:『GHQの検閲・諜報・宣伝工作』

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