2013年12月08日 12:30 〜 17:50
文楽 セミナーつき鑑賞会

申し込み締め切り

会見リポート

伝統芸能を識(し)り考える 当クラブならではの好企画

宮智 宗七 (日本経済新聞出身)

〝後期高齢者〟入りしては生来の出不精に輪がかかり、記者クラブの〝休眠会員〟になって久しい。そんな私が慌ててパソコンで参加申し込みをしたのが昨年12月8日の「文楽セミナー付き鑑賞会」(国立劇場)だった。


高校時代からの文楽ファンで、いまでも東京での公演には必ず出掛ける私だが、この会では次の人間国宝候補と目される桐竹勘十郎師の話が聞けるとあって、いささか興奮した。13年秋、ヨーロッパ3カ国で上演、絶賛された杉本文楽の「曽根崎心中」でヒロインのお初を演じたこの人の芸の奥義を近くで見て、話を聞きたいと念じていたら、くじ運のない私が抽選で「限定20名」に当選した。縁遠く感じていた記者クラブが急に身近になった。


当日は、まず、別棟の会議室で勘十郎師が、そのお初の人形と上演中の「大塔宮曦鎧」の主役の男役の人形を題材に、操作の勘どころを説明した。私にとっては、人形の重さが8~15キロということへの驚きから始まり、あのキメ細やかな人形の動き、特に「艶麗」(色っぽい!)としか表現しようのない女形の仕草などの秘密を1メートル以内という至近距離で見せていただいたことに感激した。


その後、小劇場での「大塔宮」と「恋娘昔八丈」の公演鑑賞で気が付いたことだが、勘十郎師の説明の通り、人形のカシラ(頭)の動きや目配りの一つ一つがよく理解できた。あらためて、記者クラブならではのレクチャーの設定には恐れ入った。


文楽は伝統芸能に付きものの経営難から脱しきれないでいる。そうした状況への関心をあらためて呼び起こすのも、この記者クラブの有用な機能だろうと思う。


付け加えれば、この機会に、昔の職場の同僚にも出会った。クラブのご利益ここにもありと感じた。


ゲスト / Guest

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