2013年09月26日 15:00 〜 16:00 宴会場(9階)
アイラ・シャピロ 元USTR大使(日本・カナダ担当)

会見メモ

アイラ・シャピロ元USTR大使は、TPP交渉が妥結すれば、デジタル経済、知的財産、環境問題などを包括的に取り込む21世紀型の通商協定が成立すると述べた。

日本にとっては、経済成長、経済改革を呼び込み、日米間の貿易、投資の増大につながるものだとした。

司会 日本記者クラブ企画委員 軽部謙介(時事通信)

通訳 小松達也(サイマル・インターナショナル)


会見リポート

TPP交渉合意に自信

中西 享 (共同通信客員論説委員)

1990年代に日米の自動車交渉を担当したUSTRの高官。いまは弁護士として、そのキャリアを生かして、これから交渉がヤマ場に差しかかる環太平洋経済連携協定(TPP)にも関与する。


TPPの交渉の行方について「日本が加わったことでTPPが意味のあるものになった。日米の交渉チームは建設的に参加しており、失敗したドーハラウンドの時と異なり、モメンタムが感じられる。日米を含めて全ての国がセンシティブセクターを持っているが、合意することの重要性を考えて各国の政治的決断がなされ、良い結果をもたらすと確信している」と述べ、交渉は成功するという見方を示した。


世界的にみて多国間交渉よりも2国間交渉が進行している状況については「貿易交渉をみると多くの2国間交渉が行われているが、結果的にこうした交渉はまとまって統合されるものだ。2国間交渉は多国間交渉につながるブロックの1つとして重要だとみている」と指摘した。


自動車問題に関しては「米国で販売される日本車のうち70%は米国で作られている。日本車の生産は州や各地域に貢献しており、米国経済の一部になっている。この問題は、より大きな通商協定の中でハンドリングできる」と述べ、自動車は大きな問題にはならないとの見方を示した。


農業関連で「5つの重要項目」を提示している日本にとって気がかりなセンシティブセクターの取り扱いは「米国は(通商交渉で)オーストラリアの砂糖の輸入を認めていない。代わりに韓国とはコメは除外品目として認めている。全てのセンシティブセクターには配慮がなされ、妥協が行われる。こういう問題も乗り越えながらまとまっていくのではないか」と述べ、会見の全体を通して交渉合意に自信をみせたのが印象的だった。


ゲスト / Guest

  • アイラ・シャピロ / Ira Shapiro

    アメリカ / USA

    元USTR大使(日本・カナダ担当) / Former Ambassador of the U.S. Trade Representative

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